大ヒット「モンスト」生みの親、借金2ケタ億円でゲーム業界から消えていた過去とドン底人生

ゲームプロデューサーの岡本吉起氏

 数あるソーシャルゲームの中でも、トップクラスの人気を誇る「モンスターストライク」。同ゲームの開発・発売元は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi」で名を馳せた株式会社ミクシィで、同社は「モンスト」の驚異的な売り上げで好調な業績をあげている。

 そのタイミングと同じくして、奇跡的な復活を遂げたのが、ゲームプロデューサーの岡本吉起氏だ。大手メーカーの社員として、業界の黎明期から活躍していた岡本氏だが、独立して立ち上げたゲーム会社が苦戦。莫大な借金を抱え、一時は「行方不明」とまでいわれた。そんな男が、なぜ「モンスト」で復活することができたのか。岡本氏に話を聞いた。

コナミ→カプコン→開発会社を起業

–最初は、コナミ(現・コナミホールディングス)に入社したんですよね。

岡本吉起氏(以下、岡本) そんなところから始めるの?(笑) そう、最初はイラストレーターとしてコナミに入りました。コナミでは絵だけじゃなくて、企画もデバッグも、ロケーションテスト用の機材運びもやっていて、「ピカデリーサーカス」(メダルゲーム)なんかもつくっていましたね。

–それから、カプコンに移ったのは、どういった経緯ですか?

岡本 一緒のチームでやっていたプログラマーの方が、社長と喧嘩して辞めたのですが、それに巻き込まれたんです。辞めた後にいろいろな会社から声がかかる中、僕に「開発を任せる」と言ってくれたのが、カプコンでした。

 それで入社したら、当時のカプコンは販社で開発部門がなく、一から立ち上げるところからやらなくちゃいけなくて。そこで、コナミ時代の同僚に電話して合流してもらったら、それが「汚い辞め方だ」ということで、いまだにコナミは出入り禁止です(笑)。

–カプコンでは、「ソンソン」や「エグゼドエグゼス」から「ストリートファイター2」まで、さまざまな作品に関わり、ヒット作を連発して一時代を築きました。

岡本 コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)の良い時代に生まれたし、良い時代をつくった1人と言ってください(笑)。

–そして、2003年にカプコンを退社、ゲームソフト開発会社のゲームリパブリックを設立します。しかし、10年ごろに経営難になり、11年には大きな負債を抱えたまま、岡本さんはゲーム業界から姿を消してしまいました。

岡本 負債は2ケタ億円ぐらいありました。ゲームリパブリックを立ち上げた時は、ソニーと組んでやっていたんですけど、急に契約を打ち切られちゃったんです。

 それで、急いで組む相手を探して、見つけたのがアメリカのファンド系の投資会社で、その会社からのお金でゲームをつくっていました。その会社とは、マイルストーンという毎月の途中経過を見せる契約になっていたので、モノができなければ、こちら側が契約違反をしたことになり、それまでのお金も全額返すというルールだったんですね。

 それでいきなり「この段階では、今月はお金を出せない」っていうことになった。たぶん、投資会社のほうも、リーマン・ショックがあって資金がなくなってきていたんだと思うんです。

 こっちはお金がないから苦しい。でも、モノができなきゃお金がもらえないので、銀行に運転資金を借りてなんとかする。そうやって、お互いチキンレースのようなかたちになって、借金がかさんだ挙げ句、彼らのほうが先に倒産してしまいました。当然、お金は回収できず、うちの会社も海底に沈んでいったというわけです。

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