
日本経済団体連合会(経団連)は、新任の副会長に新日鐵住金の進藤孝生社長、大成建設の山内隆司会長、三菱電機の山西健一郎会長、トヨタ自動車の早川茂取締役・専務役員の4氏を充てる人事を内定した。5月31日の経団連の定時総会で副会長に就く。今回の人事に伴い、副会長は16人から18人に増え、来年6月までの任期の榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)を支える。
大成建設の山内氏が就任すると、旧経団連と日本経営者団体連盟(日経連)が統合して現在の経団連になった2002年以降で初めて建設業界から副会長が出ることになる。山内氏は安倍晋三首相の外遊に頻繁に同行し、成長戦略の柱であるインフラ輸出を経済界から後押ししてきた。
三菱電機の山西氏は、「メーカーから補充したかった」(榊原会長)人選だ。昨年の副会長人事は金融や商社が中心で、経団連の本流である重厚長大型のメーカーの起用はゼロだった。
現在、副会長を務める新日鐵住金の友野宏相談役は2期4年の任期満了で退任し、“新日鐵住金枠”で進藤氏が就く。同じく任期満了を迎えるトヨタ自動車の内山田竹志会長の後任が、副会長人事の最大の焦点であった。結果は、早川氏の起用というサプライズ人事となった。早川氏は4月1日付でトヨタの副会長となり、その肩書きで経団連副会長に就く。
社長や会長など企業トップ経験者以外の人物が経団連副会長に就くのは異例だ。榊原経団連が、トヨタをつなぎとめておくことに汲々とした図が浮かび上がってくる。企業のトップ以外が経団連の副会長に入れば「経団連が形骸化する。存在そのものが問われる」(元経団連副会長)ことにもなりかねない。
トヨタは豊田章一郎氏や奥田碩氏ら社長経験者が経団連会長になり、経団連の屋台骨を支えてきた。豊田章男社長が副会長に就けば、榊原氏の後任になることがほぼ決まりとみられていた。
「本来は社長の私がお受けすべきだが、経営をとりまく環境が激変し、社長業との二足のわらじは現実的に困難だ」
豊田社長は、経団連副会長人事を辞退した理由を、こう説明した。ドナルド・トランプ米大統領にトヨタが名指しで批判されている時に、財界活動どころではないというのが本音だろう。