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「人件費に潰される」三越伊勢丹が王者陥落…社員半数が管理職の異常体質、前社長を完全否定

文=編集部
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中期経営計画見直し、営業利益500億円の目標を取り下げ

 5月31日付日本経済新聞は、三越伊勢丹HDが「現行の中期経営計画を見直し、連結営業利益で早期に500億円(2017年3月期は239億円)を達成する目標を取り下げ、11月にも新たな中計を発表する」と伝えた。

 新社長のもとで中期経営計画をつくること自体に驚きはない。杉江氏は5月10日の決算会見で、17年3月期を最終年度としていた3カ年中期経営計画の数値目標が未達となったことについて、「量的目標だけが先行して拙速だった。社内で200にも及ぶ新規プロジェクトを次々にやり、本業(の売ること)がおろそかになった。ビジネスモデルができていないのに多店舗化を進め、採算が取れていなかった。構造改革が後回しになる状況だった」と述べている。大西体制に対する冷ややかな批判である。

 同社は18年3月期を戦略転換の年と位置付け、負の遺産の整理を行う。17年度(18年3月期)から18年度は徹底した構造改革を実施し、不採算事業はこの2年で見切りをつける。18年度には成長に向けた投資を再開し、19年度以降に新たな成長の実現を図るとしている。

 旗艦店がある東京・新宿や日本橋に優良な土地・建物を抱えているが、百貨店の王道を進むとして、不動産活用には一切取り組んでこなかった。だが今後は、立地を生かし複合ビルに衣替えして収益力を高めたいとしている。18年3月期の不動産事業の売り上げは前期比18%増の490億円、セグメント別の営業利益は0.9%増の65億円を見込む。不動産事業の稼ぎで、百貨店事業の収益の落ち込みをカバーする狙いだ。

 同社の18年3月期の連結売上高は前期比0.9%増の1兆2650億円、営業利益は25%減の180億円、純利益は33%減の100億円の見通しで、厳しい決算が続く。そのため、20年度に営業利益500億円としていた目標を取り下げざるを得なくなったわけだ。

J.フロントは不動産事業を収益の柱に据える

 時価総額で初めて首位に立ったJ.フロントは、早くから百貨店に依存しない事業モデルを構築してきた。そのひとつが不動産事業だ。4月に森ビルなどと組み、松坂屋銀座店跡に商業施設「GINZA SIX」を開業した。同施設は初年度から利益貢献する見通しだ。

 J.フロントは18年2月期決算から日本基準から国際会計基準(IFRS)に移行する。日本の会計基準とIFRSでは売上高の算定方式が大きく異なる。

 日本基準では顧客への販売金額をそのまま全額、売上高に計上するが、IFRSでは販売金額から仕入れ値を差し引いた販売マージンだけとなる。売り上げは表面上減るが、百貨店事業の実態を反映したものになる。

 J.フロントは、大丸松坂屋百貨店とファッションビルのパルコが2本柱だった。これに不動産事業が加わることで、百貨店事業の比重は売上収益(売上高に相当)ベースで53%まで下がる。“脱百貨店”の事業モデルに転換できていることを数字が如実に示している。

 三越伊勢丹HDは自前の売り場づくりにこだわるあまり、流通業界の大きなトレンドから取り残された。百貨店の雄と称された三越伊勢丹HDの復活の足取りは重い。
(文=編集部)

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