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トヨタ社長、異常な粛清人事が波紋…邪魔者は一斉排除&役員はイエスマンだらけ

文=河村靖史/ジャーナリスト
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気まぐれ人事

 豊田社長のお友達といえばもう1人、友山茂樹専務役員も59歳の若さで副社長に就任することになった。友山氏も豊田氏が社長に就任する前からのお友達で、テレマティクスサービス「G-BOOK」などの立ち上げで一緒に汗を流してきた。友山氏が発表者となって9月21日に東京・お台場で開催した「GRブランド」発表会には、豊田社長が飛び入り参加し、両者の仲の良さを示した。

 友山氏はコネクティッドカンパニーとガズーレーシングカンパニーの2つの社内カンパニーのプレジデント、TPS本部、事業開発本部、情報システム本部の3つの本部長を務めることになり、権力を集中させている。周辺からは「豊田氏が会長になって友山氏が社長になるのが規定路線」とさえいわれており、お友達だけで出世の階段を駆け上がっている友山氏に怨嗟の目を向ける人は少なくないという。

 今回、役員人事を1月に前倒ししたことについてトヨタは、こう説明している。

「環境変化はこれまでに経験したことがないほどのスピードと大きさで進行しており、待ったなしの状況で、役員体制についても4月に実施した後も、6月、8月、11月と随時、変更してきており、来年についても従来の4月から1月に前倒しで実施することにした」

 これについても「豊田氏の気まぐれ」で役員体制が左右されているところが大きいと見られる。

 実際、系列サプライヤーとの人事交流の一環として15年にアイシン精機グループのアドヴィックス社長に出向した小木曽聡氏は、1月に専務役員として早くもトヨタに復帰する。アドヴィックスには1年半ほどしかいなかったことになる。しかもトヨタで担当するのは商用車カンパニーのトップで、アドヴィックスとはほとんど関係のない部署だ。

 また、今年4月、出向していたSUBARU(スバル)からトヨタに復帰し、渉外・広報本部を担当していた村上晃彦専務役員は8カ月で担当変更、東アジア・オセアニア・中東本部担当に変わる。「朝令暮改」人事といわれても仕方がない状況だ。

裸の王様

 豊田氏は今回の役員人事について、「今回の体制変更には、大変革の時代にトヨタグループとして立ち向かっていくという意志を込めた」とコメントしている。しかし、周囲をお友達とイエスマンばかりで固めているのは一目瞭然だ。

 あるサプライヤーは、今年10月に開催された東京モーターショー2017での豊田氏の姿が印象的だったという。

「大学病院の教授の総回診のごとく、豊田氏を先頭に取り巻きが周囲を固めて通路の真ん中を堂々と歩く。ホンダのブースではバイクにまたがって大はしゃぎする豊田氏を、周囲が囃し立てる。あれでは完全に裸の王様だ」

「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもない。勝つか負けるかではなく、まさに生きるか死ぬかという瀬戸際の戦いが始まっている」とコメントしている豊田氏だが、今回のお友達人事を見る限り、その危機感はまったく伝わってこない。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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