
ポテトチップス系菓子の市場で圧倒的なシェアを誇っているカルビーが、2018年3月期第3四半期(17年10月―12月)決算で不調の兆しを見せた。“プロ経営者”と呼ばれる松本晃会長兼CEO(最高経営責任者)が09年に着任して以来の快進撃にブレーキがかかったのか。松本会長が社内で呼びかけてきたといわれる「買って 作って 売る」という標語の3分野を検証すると、成長出口は海外にしかないようにみえる。
松本会長就任以来の業績ブレーキ
松本会長がカルビーに着任したのが09年。ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長、顧問を歴任したいわゆるプロ経営者として招聘された。以来、カルビーの業績はすばらしかった。09年のグループ連結売上高は1,373億円だったが、直近の17年3月期は同2,524億円だった。8年もの間、毎年平均して9.0%の成長を持続してきたことになる。多くの経営者ができることではない。
営業利益の回復はさらに顕著だ。09年の対売上高営業利益率はほぼゼロだったのが、翌10年には早くも6%を超え、17年には11.4%と高い数値を実現した。17年度までの快進撃に比べ、18年3月期決算予想は松本カルビーにとって初めての足踏みの時期が来たことを示している。
「買って 作って 売る」に何が起きた
松本会長が就任以来掲げた経営哲学でもある社内号令が「買って 作って 売る」というシンプルなものだった。カルビーの主要製品、ポテトチップスの原料であるポテトは北海道で買い付けている。それをうまくやろう、そして鮮度を保つよう早く作ろう、小売の棚取り・面取りをしっかりやってたくさん売ろう、ということだった。