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なぜコマツは、脱中国に成功し完全復活できたのか…世界最先端IT企業の実像

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 その後、コマツ中国ビジネスは成長のドライバーから、足かせに転じた。リーマンショック後の景気刺激策が過剰な生産能力の蓄積につながったためだ。2011年、中国の三一重工が増産・販売強化を進めたことなどを受けて、中国の油圧ショベルカー市場でコマツは首位から陥落した。それ以降、コマツは中国メーカーの攻勢に押されているとの見方が増え始めた。

 中国市場でのシェア低下は、コマツの業績に対する警戒につながった。2011年半ばから2016年半ばまでの同社の株価は、おおむね1500円から3000円の範囲で推移してきた。市場参加者は長期的な成長の可能性よりも、目先の中国経済の動向などを判断の尺度としてコマツの経営状況を評価してきたといえる。

建機不況を耐え凌いだコマツ

 
 2011年度末に売上高の20%以上を占めるに至ったコマツの中国事業は、2012年度以降、急速に低下した。2013年度末、コマツ全体の売上高に占める中国の割合は10%を下回り、2014年度には、中国での売上高が前年度から32%減少するなど、想定以上に需要が落ち込んだ。これは中国での建機不況といわれている。

 中国での建機需要が落ち込むなか、景気回復に伴う米国や国内の売り上げ増加が同社の業績を支えた。2016年半ばごろからは共産党大会を控え、中国政府が景気刺激のためにインフラ開発などを実施したことが建機需要の回復につながった。

 この結果、本年1月にコマツの株価は最高値を更新した。対照的に、一時、中国脅威論ともてはやされた三一や中連重科など中国企業の株価は、右肩下がりのトレンドをたどっている。無人大型ダンプトラックの運行システムの実用化など、コマツの技術が評価されてきたといってよいだろう。

 同時に、コマツのライバル企業である米キャタピラーの株価も、本年1月に最高値を更新した。キャタピラーの業績も中国の建機需要の持ち直しに支えられた部分が大きい。リーマンショック後、米国の景気回復が世界経済を支え、そのなかで中国経済も持ち直し安定してきた。この点で、多くの建機メーカーの業績は、個社要因としての技術力だけでなく、世界経済全体の景気循環によって持ち上げられた部分もある。

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