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TBS、「放送会社というより投資ファンド」と株主が批判…利益落ち込みを株式配当金で補填

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TBS放送センター(「Wikipedia」より)

 東京証券取引所は6月1日に改定した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)で、上場企業に政策保有株(持ち合い株)の削減を求めた。

 東証はこれまでも持ち合いの解消を促してきたが、「持ち合いの解消を申し出ると、相手企業との取引に影響が出る」など、否定的な声が多かった。

 今回の改定では、政策保有株の保有を続ける場合は、目的が適切か、保有している効果があるかなどを具体的に検証し、その内容を開示すべきだとしている。株式の持ち合いは、安定株主対策として重宝されてきた。一方で、持ち合い株が多いと経営陣の緊張感が薄れ、資本効率も下がると指摘されてきた。日本的な慣行だった持ち合い株の解消は、グローバル化の流れのひとつなのだ。

TBS保有の東京エレクトロン株式が焦点に

 株主総会シーズンに入り、アクティビスト(物言う株主)の出番である。

 6月28日に株主総会を控えた東京放送ホールディングス(TBS)への株主提案議案が話題を呼んでいる。政策保有株の売却を迫る内容だからだ。

 株主提案をしたのは、英国の物言う株主のアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)だ。5月31日、都内で会見を開き、アドバイザーのスティーブン・ギブンズ上智大学教授が株主提案について説明した。

 AVIはTBSの発行済み株式の1.7%を保有している。TBSが4.68%の議決権を持つ東京エレクトロン株式のうち、40%にあたる約300万株を配当財産とし、TBS株57株に対して東京エレクトロン株1株を現物で支給するよう求めた。金額にすると600億円超になる。9月末の実施を求めている。

 AVIは東京市場でも20~25銘柄投資している。経営陣と友好的な対話を基本としており、議案を提出したのは初めてといい、会見したギブンズ氏は、「持ち合いの問題点を浮かび上がらせたいから」と説明している。

「政策保有株はいけないという認識が広がるなか、TBSは政策保有株を中心に有価証券が総資産の半分以上を占め、ほかに不動産や現預金を持つ。放送会社というよりも投資ファンドに近い、バランスの悪いポートフォリオだ。株式の時価総額は資産価値の半分近い水準にとどまる。これらの株式をTBSという器から解放すれば、ディスカウント状態は解消されよう。東京エレクトロンなど各銘柄を保有する理由は、『グループ経営上の取引関係維持・強化のため』など、ほぼ同じ表現。説明責任を果たしていない」(ギブンズ氏)

 東京エレクトロンは、半導体製造装置で世界4位。TBSは3位の株主だが、1位と2位は信託口なので、事実上の筆頭株主だ。TBSはAVIの株主提案に対して反対を表明。「もともと東京エレクトロンはTBSの関係会社だった経緯がある」とし、「同株が安定的な財政基盤を支えている」と反論している。

TBSは受取配当金で利益を捻出するやりくり決算

 TBSの2018年3月期の連結決算は、売上高が前期比1.9%増の3619億円、営業利益は5.4%減の188億円、純利益は6.5%増の171億円だった。営業減益だったが、受取配当金が80億円と、前期より30億円増えたため最終増益となった。本業の儲けである営業利益の落ち込みを、受取配当金で補填する「やりくり決算」である。

 配当金をもたらす投資有価証券は4363億円で、前期より1097億円増えた。資産合計の53%を占める。AVIが「放送会社というより投資ファンド」と指摘する所以だ。

 東証が政策保有株の削減を求めたことに呼応してAVIは動き出した。TBSの持ち合いは東京エレクトロンだけではない。AVIは、リクルートホールディングス(HD)、東レ、大塚HD、ビックカメラ、三井不動産についても、「事業上の関係が希薄で正当化できない」と厳しく指摘する。

 物言う株主は、政策保有株の売却で得た資金を配当の原資にすべきとする、新たな攻め手を見つけ出した。

 AVIの株主提案が突破口となり、今後、同様の株主提案が他企業にも広がる可能性がある。
(文=編集部)

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