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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

『スター・ウォーズ』や『インディー・ジョーンズ』の音楽が観客の心を震えさせる秘密

文=篠崎靖男/指揮者

「映画がヒットすれば、あとからドンドン追加の出演料も入って来るし、首席奏者ともなると、ヒット作品で家を買った人もいたらしいよ]

 そのような大ヒット作品をたくさん作曲してきたジョン・ウィリアムズは、どれほど稼いでいたのかと想像を巡らせたくなりますが、当のジョン・ウィリアムズは、まったく偉ぶることもなく、自分の音楽だけでなくチャイコフスキーやプロコフィエフも愛する素敵な音楽家です。大スター作曲家にもかかわらず、とても謙虚な方で、当時若造だった僕に対しても丁寧に接してくれて、僕も大ファンになりました。オーケストラのメンバーも、親しみを込めて「ジョン」と呼んでいます。

『スター・ウォーズ』の指揮で大失敗

 僕も『スター・ウォーズ』を何度か指揮したことがあります。最近は、日本のオーケストラもよく演奏していていますが、僕にとって一番印象的だったのは、ロサンゼルス・フィルハーモニックによる子供のためのコンサートです。そのときのテーマは「映画音楽」でした。

 ステージを、映画音楽スタジオと同じにするという趣向でした。ステージの背後には大スクリーンが設置され、『スター・ウォーズ』の戦闘場面が映し出されています。もちろん、サウンドは無く、代わりに生オーケストラが演奏するわけです。指揮者の僕の前にも小さなモニターがあり同じ画像が流れているのですが、ひとつ違うのは、モニター画面を横切って右から左に点が通るのです。その点が真ん中に来るタイミングで指揮棒を振れば、オーケストラと画像がぴったりと合う仕組みです。

 さて、本番。オーケストラの演奏が素晴らしく、僕も感動してしまい、少しの間モニターからうっかりと目を離してしまいました。気が付くと、点と指揮がずれてしまっている。オーケストラは僕の指揮だけを頼りに演奏しています。焦って大画面を見ると、敵の戦闘機は、音楽よりも先に爆発していたのでした。
(文=篠崎靖男/指揮者)

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

 桐朋学園大学卒業。1993年ペドロッティ国際指揮者コンクール最高位。ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクールで第2位を受賞し、ヘルシンキ・フィルを指揮してヨーロッパにデビュー。 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後ロンドンに本拠を移し、ロンドン・フィル、BBCフィル、フランクフルト放送響、ボーンマス響、フィンランド放送響、スウェーデン放送響、ドイツ・マグデブルク・フィル、南アフリカ共和国のKZNフィル、ヨハネスブルグ・フィル、ケープタウン・フィルなど、日本国内はもとより各国の主要オーケストラを指揮。2007年から2014年7月に勇退するまで7年半、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者としてオーケストラの目覚しい発展を支え、2014年9月から2018年3月まで静岡響のミュージック・アドバイザーと常任指揮者を務めるなど、国内外で活躍を続けている。現在、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師(指揮専攻)として後進の指導に当たっている。エガミ・アートオフィス所属

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