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平均67歳の副会長たち(起業家ゼロ)が率いる「経団連」に主導される“日本経済の限界”

文=編集部
平均67歳の副会長たち(起業家ゼロ)が率いる「経団連」に主導される“日本経済の限界”の画像1経団連会館(写真:金田啓司/アフロ)

 日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長は2月12日の記者会見で、新任の副会長、6人が内定したと発表した。

 2019年春に2期4年の任期を満了するのは、岡本圀衛・日本生命保険相談役、永易克典・三菱UFJ銀行特別顧問、宮永俊一・三菱重工業社長、十倉雅和・住友化学社長、飯島彰己・三井物産会長、工藤泰三・日本郵船会長の6人。

 副会長のポストは18あり、業界ごとに枠がある。

 商社枠を制したのは、住友商事の中村邦晴会長。「伊藤忠商事の岡藤正広会長が有利」という下馬評を覆した。三井物産から住友商事と、旧財閥系商社でのバトンタッチとなった。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)枠は、平野信行・MUFG社長に引き継がれる。平野氏は4月1日付で会長に就くことになっており、「経団連副会長就任に備えた人事」と、財界では受け止められていた。

 生命保険枠は、日本生命から第一生命ホールディングスの渡邉光一郎会長へと代わる、順当な人選だ。

 化学枠は住友化学から三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長にバトンが渡った。住友から三菱へ。こちらも旧財閥系企業への禅譲である。

 工藤・日本郵船会長の後釜は運輸業界では見当たらず、NTTの篠原弘道会長が選ばれた。

 重機械枠は、三菱重工からコマツの大橋徹二社長に渡る。斎藤保・IHI会長は落選した。

 中西氏は12日の記者会見で、経営者としてのリーダーシップを評価した上で、「デジタル化による社会の仕組みの変化をよく理解されている方々にお願いした」と、上記の6人を内定した狙いを語った。

旧態依然とした“順送り人事”

 副会長就任に意欲満々だと取り沙汰されている審議員会副議長が3人いた。みずほフィナンシャルグループの佐藤康博会長と、井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長、新浪剛史・サントリーホールディングス社長だ。

 中西氏が会長を務める日立製作所のメインバンクは、みずほ銀行だ。この関係で中西氏が佐藤氏を抜擢するとの噂が流れたが、さすがに中西氏はこうした俗説には惑わされなかった。

 佐藤氏は悲願の副会長の座を射止めることができなかった。20年春に三井住友フィナンシャルグループの國部毅社長が任期満了を迎えるまで待つことになる。

 サントリーの新浪社長は経済同友会の代表幹事の候補になったこともあって、「手垢がついている。安倍晋三首相に近すぎるのが難点」(経団連の副会長)といわれている。

 セブン&アイHDの井阪社長が経団連副会長になれば、セブン&アイHDの会長に退き、社長の椅子は創業家の伊藤家(伊藤順朗取締役)に“大政奉還”されるとみられていたが、これも先送りされる。

 新たに選ばれた6人は、前身を含めていずれも過去に副会長を出した企業の出身。正副会長は新任6人を含めて全員が60歳を超えている。一番若くて63歳、平均年齢はおよそ67歳である。起業家もいない。中西氏は「女性、IT、ベンチャー企業などのスタートアップが経団連に入ってくるべき」と“新しい風”が吹くことに期待を示した。

 業界枠がぎっちり固まっており、“中西カラー”を打ち出しにくいのは確かだ。だからといって、業界内の順送り人事では、旧態依然という誹りは免れない。

 経団連前会長の榊原定征・東レ相談役は、18年春の副会長人事で、冨田哲郎・東日本旅客鉄道会長(JR東日本)、片野坂真哉・ANAホールディングス社長を起用。製造業の枠にこだわらず、観光・インバウンド(訪日外国人)を意識した登用で新味を出した。

 今回の人事で中西氏らしさが出たのは、唯一、IT・エレクトロニクス業界からNTTグループの持ち株会社、NTTの篠原会長を選んだことだろう。ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長などが入閣すれば、それこそサプライズとなったのだが、中西カラーが本格的に出るのは20年以降となる。
(文=編集部)

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