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大塚家具、延命措置が限界に…セール乱発&店舗閉鎖“頼み”、久美子社長の“反父親”経営失敗

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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困難さ増す変化への対応

 
 持続的な成長を目指すために、企業は何が自社の本業(強み)かを、客観的に認識しなければならない。もともと、顧客に家具を使うシーンを具体的にイメージしてもらい、ほしいと思う気持ちを醸成することが大塚家具の強みだった。

 しかし、大塚家具はその強みを失ったように見える。同社は積み重ねてきた顧客との関係性を手放した。それは、同社で家具を買うことと、イケアやニトリで家具を買うことの違い(差別化要因)がなくなってしまったことと言い換えられる。本業を見失うと、業績は悪化する。それだけでなく、環境の変化に適応することも難しくなる。

 すでに、わが国ではカマルクジャパンなどが家具のサブスクリプション・サービスを提供している。大塚家具から顧客を取り込んできたイケアも、家具のサブスクリプション・ビジネスのテストを開始する。サブスクリプションのサービスを使うことによって、顧客はライフスタイルおよびステージに合わせて、ほしい家具、あるいは必要な家具を手に入れることができる。サブスクリプション・ビジネスへの取り組みが広がるにつれ、家具を扱い販売する企業には、家具を売るだけでなく、家具を使うことによって得られる喜びなどをつくり出すことも可能になる。

 現在の経営状態を踏まえると、大塚家具がこうした取り組みを進め、変化に適応することは容易ではない。もし同社がビジネスモデルの立て直しを進めるのであれば、従来の発想では難しいように思う。2月15日、大塚家具の株価は前日から15%超下落して引けた。新たな業務提携が同社の業況改善につながるのは難しいと、先行きを悲観する市場参加者は多い。

 大塚家具は、親子の対立を境に、冷静に自社の強みを磨くことが難しくなってしまった。中国での売上拡大を目指すにせよ、国内での販売強化にせよ、大塚家具は自社の強みを見直し、原点に立ち返らなければならない。それができるか否かが、同社の今後の展開を左右するだろう。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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