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「平成検証」改正水道法の急所(3)

安倍政権の水道民営化の根本的矛盾…運営企業の儲けのために住民に犠牲と負担を強いる

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安倍晋三首相(写真:つのだよしお/アフロ)

1.運営権者は「運営権対価回収」と「莫大な儲け」を想定


 水道事業が公的機関から離れる場合、それが「運営権」を売買するコンセッション方式であろうが、「所有権」も移転する完全民営化であろうが、売買契約の当事者である自治体と民間企業の目的は「カネ」である。それは、「新PFI法」(PFI=プライベート・ファイナンス・イニシアティブ/民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が公共事業の運営権を自治体から民間企業に売り渡すための“餌”として登場したことを見れば明白だ。

 前回までに述べたように、自治体は水道コンセッションによる運営権対価を借金の繰上償還に充て、同時に補償金も免除される。また、運営権者が設定する高額の水道利用料金から上納分を確保し、それまでに悪化した財政を数字の上で好転させられる。もし住民の監視が不十分であれば、水道コンセッション契約期間中になんらかの問題が生じて途中解約となっても、運営権者が設定した高額料金をそのまま引き継ぐことができる。最後に割を食うのは、やはり住民だ。

 ただし、自治体がその気になっても企業側にメリットがなければ契約は成立しない。運営権者が惜しみなく数十億円規模の対価を支払うのは、「運営権対価の回収」と「莫大な儲け」を想定しているからである。しかも、静岡県浜松市の下水道コンセッションに見られるように、運営権者は複数の企業連合で新設されるSPC(特別目的会社)なのだ。ただでさえ収益は分散されるため、儲けが大きくなければ元も取れず、契約する価値はない。

 管路改修費などで遅かれ早かれ料金改定が必要だとしても、儲けを含まない自治体運営の料金値上げと違って、運営権者は住民から大儲けを上乗せした料金を徴収しなければビジネスは成立しない。したがって、水道コンセッション契約が住民にとって損であることは単純算数であり、小学生でも理解できる話だ。

 改正水道法は今年10月1日に施行される見通しである。施行日の公表後、厚生労働省は「運営権者が経営難に陥ったり地域が災害に見舞われた場合、自治体も運営責任を分担するようなコンセッション契約の中身になることを義務づける」との方針を表明した。浅慮でコンセッション契約に歩み出す自治体は今後、真綿で首を絞められるように運営権者の利益サポート役としてがんじがらめに縛られていくのである。自治体の負担は常に財政と直結しているため、結局は住民が税金で負担させられる。給水にさまざまな問題が生じたり経営的な収支が思わしくなければ、運営権者はインフラを所有する自治体を矢面に立たせられる。

 水道コンセッションを推進する政府と自治体が、国民/住民の利益を二の次にしていることは明らかである。

2.大幅値上げ批判の「盾」となる論拠こそが改正水道法の肝


 政府が水道コンセッションを全国の自治体に成約させるために新PFI法で緩和した「利用料金」の規定について、前回の記事でこう書いた。

「(4)運営権者が水道利用料金を変更する場合、あらかじめ自治体の承認を受ける必要はなく、届出でよい」

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