2月4日の「NHK NEWS WEB」の報道に対して、市民団体が3月22日に放送法に基づき訂正報道と謝罪を求め「苦情処理の申し入れ書」(以下、「苦情処理書」)を提出していたが、4月8日にNHKから市民団体にその回答が届いた。
安倍政権が忖度・改ざん・偽装を繰り返しながら長期政権を保っているのは、マスメディアが政権に忖度して重要な問題を伝えないからであるが、その筆頭がNHKだ。
特に悪質だった、森友問題において写真偽装を認めた試掘工事業者が国交省に提出した回答書を、2月4日に同省が参議院委員会に提出した件に関する報道だ。報道各社は工事業者が写真偽装を認めたことを大きく取り上げたのに対して、NHKは回答書の「私(=工事業者社長)の発言内容の一部のみを(野党議員)に引用されて、都合よく合体し、まったく異なった内容となっている」と書かれた部分に依拠し、「工事業者が野党に反論」と報道したのである。
森友問題では、野党は写真偽装問題を1年6カ月にわたって追及し、ついに工事業者と国交省に偽装を認めさせた。日頃から安倍政権を批判するメディアでも、最後には政権に忖度して野党の追及が生ぬるいなどと批判することがよくあるが、今回は、どこから見ても成果が評価されるべき野党議員を、NHKは逆におとしめるような中傷報道を行ったのである。この報道を見る限り、NHKはこれまで批判されてきた「安倍政権の広報部門」というレベルを超え、安倍政権への批判につながる報道は抹消し、批判勢力をおとしめるような諜報機関のような役割を持ち始めたとさえ思える。このまま放置することはできず、具体的な事実を追ってみたい。
値引きの最大根拠であった試掘写真が偽装されていた件は、本サイトでも4回にわたり取り上げてきたが、市民団体「森友 ごみ問題を考える会」(加藤弘吉共同代表/以下、「考える会」)が3月22日に提出した苦情処理書に対するNHKの回答には、以下の2点が示されていた(写真3参照)。
(1)訂正放送の申し入れ書については、「その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人」(放送法第9条第1項)には当たらないため、「ご対応は致しかねます」
(2)一方、NHK NEWS WEB記事に対するご質問については「1月18日のNHK NEWS WEBの記事では、本件に対し『8億円余り値引した根拠が崩れた』とする野党の主張を見出しにした上で、野党議員が行った工事業者へのヒアリング結果を伝えるなどしています。(略)NHKは、公平、公正、不偏不党の立場を守り、自主的な編集判断に基づき記事を掲載しています」としている。