自身が運営するサイトに広告を載せ、それを閲覧者がクリックし、商品購入などの成果を達成することで、サイトオーナーに収益が入る仕組みの成果報酬型広告「アフィリエイト」。
「アフィリエイトで月100万円儲かる」など景気のいいことを言うサイトをよく見るが、広告主とアフィリエイターの間に立つASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)として2010年より事業を行う、株式会社もしものアフィリエイト事業部長・佐藤俊幸氏は「そんなに甘い話ではない」と語る。
最終回の今回は、「2ちゃんねるまとめサイト」はアフィリエイトの対象としておいしいのか? などについてうかがう。
2ちゃんまとめサイトは受難の時代?
――いわゆる「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)まとめサイト」は人が集まりますし、クラウドソーシングのサイトを見ても、まとめ要員の求人が出ていたりします。アフィリエイトの観点から見て、「2ちゃんねるまとめサイト」はいかがですか?
佐藤俊幸氏(以下、佐藤) まず、法律的に問題がないことが大前提ですね。「5ちゃんねる」の場合はサイト運営者側が規定する許諾を取る必要がありますし、「おーぷん2ちゃんねる」であれば許諾なしで利用できます【※1】。ただ、2ちゃんねる系のまとめサイトは以前ほど検索上位に表示されなくなってきているんです。
――なぜでしょうか。
佐藤 やはり、まとめサイトである以上、本家の“焼き増し”になってしまうためです。最近のグーグルはコンテンツの焼き増しに厳しい態度をとっています。検索で上位にならなければ集客はしづらいですよね。もちろん、今も収益を上げている2ちゃんねるまとめサイトはたくさんあるかと思いますが。
――「WELQ」が発端となったキュレーションサイト騒動から2年半、グーグルの対策が結果として表れてきたのですね。
佐藤 もうひとつ、広告主があまり広告を載せたがらないという問題もあります。ネガティブな情報やアダルト情報の多さを嫌がる広告主も多いのです。アフィリエイトでは、サイトオーナーが「この広告を載せたい」とASPに提携申請を行うのですが、2ちゃんねるまとめ系サイトは提携申請時に広告主側から断られるケースが増えてきています。
――「漫画村」騒動では、「こんなサイトに広告を出すのか」と広告を出稿していた会社も批判されましたね。あの場合は広告配信の仕組みでそうなってしまっていた面もありましたが。
佐藤 自社イメージを守るため、広告を出すサイトの内容をしっかり精査する広告主は増えてきています。広告主から「御社の監視体制は大丈夫ですか?」と聞かれることも、以前より増えました。
――広告がアフィリエイターのサイトに貼られた後も、御社では登録サイトの内容を監視されているんですね。
佐藤 もちろんです。日次、週次、月次、3カ月に1回など、さまざまな頻度や切り口で監視を行っています。それをしないと広告主からも信頼されず、ASPとして生きてくことができません。
アフィリエイト成功者の共通点
――コンテンツの焼き増しに対する目が厳しくなり、今後“強い”サイトになるために求められることはなんでしょうか。
佐藤 今、アフィリエイターさんには「一次情報を取ってきてほしい」と伝えています。たとえば、水に関する情報サイトを作成し、そこにウォーターサーバーの広告を貼りたい場合は、実際にウォーターサーバーを利用したり検討したりしている人に「なぜ欲しいのか」「どういった用途で使いたいか」などを実際に聞いてみる。そうすれば、オリジナルの一次情報を手に入れることができます。まずは一次情報の収集に手間やコストをかけたほうが、1年後にいい結果になるとしみじみ思っています。
――人がどういった言葉でネット検索をしているかは、フリーサイトなどでも調べることができますが、いかがですか?
佐藤 ただ、そういったフリーのツールを使っていると、結局できる記事も似たようなものになってしまいます。そのため、やはり生の人の声を聞いて一次情報を手に入れることが大事です。そうすれば、ネットのツールしか使ってない人の一歩先を行くいくコンテンツをつくることができます。そういうことができる人でないと、これからは生き残っていけないでしょう。
――成功している人はひとつのサイトだけで成功しているのでしょうか? 複数のサイトを運営しているのでしょうか。
佐藤 10年ぐらい前は多くのサイトを運営している人もいましたが、今は一点集中のほうがいいとされており、うまくいっている人でも多くて3つくらいですね。
――4回にわたってお話をうかがってきましたが、アフィリエイト成功の条件として、「飽きっぽかったり志が低かったりしたら話にならない(90%が1円も収益を出さずにフェードアウト)」「まじめにやってもやり方がまずかったら無駄な努力であり、一次情報を取りに行く手間を惜しまないことと、読者ニーズを満たす情報を提供するライティングスキルが必要」であり、また「小手先のテクニックを駆使しても今のグーグルには通用しない」ということがわかりました。
「毎月100万円儲かるノウハウを10万円で提供します」的な情報商材に答えなどなく、地道に試行錯誤しながらコツコツやっていくしかないのだと。結局、この“王道”はアフィリエイトに限らず、万事がそうですよね。
佐藤 そうなんです。そのため、トップレベルのアフィリエイターの人たちを見ると、何をやってもうまくいくだろうなという印象を受けます。読者が必要としている情報を提供できるということは、つまり人の気持ちがわかるということですから。
日本でアフィリエイトが生まれて20年がたちますが、ようやく正攻法になってきたと思います。これからも、その流れは進んでいくでしょう。
(構成=石徹白未亜/ライター)
【※1】
5ちゃんねるのコンテンツを用いてまとめサイトを運営したい場合、5ch.netの所有者であるLokiTechnology,Inc.からコンテンツの使用許諾を得る必要あり。一方、おーぷん2ちゃんねるなど、許諾の必要なしで転載OKとしている掲示板サイトもある。
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