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西友よりも安い“無敵の”オーケーストア、鳴り物入りの「お友達宅配」が大コケの理由

文=奥田壮/清談社
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オーケーストア南大沢店(「Wikipedia」より/Tx-re)

 不振にあえぐスーパーマーケット業界で躍進を続け、8年連続顧客満足度1位と消費者から圧倒的な支持を集めているのが、首都圏を中心に110店舗以上を展開するオーケーストアだ。しかし、2017年に鳴り物入りでスタートした「お友達宅配」というサービスが普及せず、狙いが外れかけているという。

 オーケーストアは現会長・飯田勧氏が1958年に創業。勧氏の実家は130年以上続く酒問屋「岡永」で、勧氏は3男にあたる。兄弟は有名な創業者一族で、長男は家業を継ぎ、次男の保氏は居酒屋チェーン「天狗」を創業、5男で末弟の亮氏は大手警備保障会社セコムの創業者である。

 商才に長けた勧氏が率いるオーケーストアの最大の魅力は“安さ”にある。「高品質・Everyday Low Price」をスローガンに、特売日を設けず、ナショナルブランドを地域最安値で販売するという戦略で消費者の支持を勝ち取ってきた。

 前述の「EDLP(Everyday Low Price)」と呼ばれる価格戦略の元祖は小売世界一の米ウォルマートで、その傘下である西友も採用している。しかしながら、オーケーストアの徹底的な安売りには太刀打ちできていないという。

「オーケーストアは『売値をいくらにしたいから、原価はこのぐらいにしてください』とメーカーと直接交渉します。それで首を縦に振らなかったメーカーの商品は置かない。だから、価格交渉に応じない業界最大手の商品はオーケーストアでは取り扱わず、二番手三番手の商品が並ぶことが多いのです」

 そう話すのは、大手スーパーに長年勤務した経験を持ち、ショッピングアドバイザーとして数多くの小売店のコンサルタントを手がける今野保氏だ。

「たとえ利幅が減っても、オーケーストアに卸せば関東で一番売ってくれる可能性があります。そのため、メーカーは言い値に従わざるを得ない。オーケーストアのバーゲニング・パワー(交渉力)はすごいものですよ」(今野氏)

 本家のお株を奪うような徹底的な安売り戦略で消費者をひきつけるオーケーストア。決してお客に損をさせない努力が実り、日本生産性本部サービス産業生産性協議会の「日本版顧客満足度指数」では、スーパーマーケット部門の「顧客満足」でコストコやドン・キホーテ、イオンを差し置いて8年連続の1位に輝いている。精算時にカードを見せるだけで割引になるオーケークラブの会員数も順調に増加しており、今や400万人を超えるという。

「お友達宅配」が不発の理由

 飛ぶ鳥を落とす勢いのオーケーストアが17年6月に開始したのが、「お友達宅配」なる新サービスだ。これは「依頼者」がアプリでオーケーストアで売られている商品を選択し、「代行者」に買い物を依頼する。「代行者」は店舗で買い物をして「依頼者」に商品を引き渡し、買い物総額の5%を報酬として受け取るというシステムだ。つまり、買い物を依頼したい人と買い物ついでに小銭を稼ぎたい人をつなぐマッチングサービスである。

 サービス開始時には実業家の堀江貴文氏も関心を寄せるなど評価は高かったが、消費者には浸透することなく、運営会社・オーケーの有価証券報告書(第51期)にも「ご利用が少なく見直しています」と記載されている。

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