ついに公正取引委員会が排除措置命令を出すのか--。
セブン-イレブンのフランチャイズ(FC)加盟店オーナーらが11日、同社本部が24時間営業を義務化していることなどが独占禁止法違反に当たるとして、公正取引委員会に告発した。詳報している弁護士ドットコムによると、「申告を呼びかけたのは、コンビニ関連ユニオンで、現役セブン社員でもある河野正史委員長に加え、組合内外のオーナー7人がそれぞれの体験を申告書にしたためた」という。
もっとも注目を浴びたのは「最終的にキャンセルできたが、勝手におでんを発注された」というオーナーの証言だ。もはや現場の事情や、実際の需要と供給を無視したセブン本部の「是が非でも売らんかな」の姿勢が透けて見える。もし告発内容が事実であれば、今回のセブン本部の対応は法律的に許されるのか。
「経営相談員による勝手な発注」
オーナーらは、24時間営業の義務化、本部がオーナー業務を代行する「オーナーヘルプ制度」を自由に活用できない、経営相談員による勝手な発注、近隣に複数店舗を出す「ドミナント出店」をしないと言いながら出店することなどが、優越的地位の乱用や欺瞞的顧客誘引に当たるとして公取委に告発した。
「おでんの勝手な発注」はこのうち、「経営相談員による勝手な発注」にあたる。確かにシーズンになれば、コンビニのレジ横のおでんは常時品揃え豊かだ。いったいどんな仕組みになっているのか。別のコンビニチェーンの加盟店オーナーは、次のように話す。
「レジ横は店の第二の看板という意識もあり、『品揃え豊富感』を出すようにしていますね。だから、おでんは重要です。そのためなのか、本部が我々の注文を超える量を送ってくるなんてこともあったと思います。一方で、テレビで取り上げられた売れ筋商品は各店舗奪い合いになるので、フランチャイズは少なく、直営店に多く流すなんてこともありましたが、最近は食品ロス問題などが取りざたされて少なくなりましたね」
今回の告発について、セブン-イレブン・ジャパン広報室は次のように全面否定した。
「告発状を見ていませんが、経営相談員が勝手に加盟店に発注を行っていたという事実はございません。また現在、時短営業を試験的に実施しており、24時間営業を強要していません」
果たして真相はどうなのか。今回の問題に関して、弁護士法人ALG&Associates執行役員の山岸純弁護士は次のように解説する。
本部の立場を悪用し、加盟店に不利益を与えることに該当
申告の内容が不明なので確かなことは言えませんが、可能性としては、独占禁止法第19条及び一般指定第14号が違法として規定する「優越的地位の濫用」に該当することが考えられます。
「優越的地位の濫用」とは、自分(ここではセブン-イレブン本部)の立場が相手方(ここでは加盟店)との関係において取引上優越していることを利用して、正常な商慣習の範囲を超えて、取引を実施するに際し不利益を与えることなどを意味します。
要するに、「本来、発注する必要のない商品を本部が勝手に購入させている」ということなので、本部の立場を悪用し、取引にあたって加盟店に不利益を与えることに該当する可能性があるわけです。
もし、これが真実であれば、公正取引委員会は、「違法行為の差止め」や「違法行為を排除するための命令」や「課徴金の納付」を命じることができます。
なお、FC契約に「本部社員が発注できる」と記載してあったとしても、当該条項こそ「優越的地位の濫用」に該当しかねませんので、いずれにせよ違法となる可能性があります。