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あるタクシー運転手が語る、“台風直撃”ルポ【後編】

優良タクシー運転手の“見分け方”「シートベルトをしてください」は重要ワード

文=渡瀬基樹
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「Getty Images」より

 公共交通機関がストップしたとき、どうしても移動しなければならない場合、頼りにできるのはタクシーくらいだ。【前編】に続き、台風15号が5時頃に上陸した9月9日月曜日と、台風19号が19時頃に上陸した10月12日土曜日の両日ともに乗務していたというタクシー運転手の方へ話を聞いていく本記事。今回の【後編】では、台風襲来で考えた、タクシーという乗り物の“存在意義”について――。

「稼げないうえに、そんなに危険なのであれば、タクシーも他の交通機関と同じように、運休をすればいいのではないかという意見もあると思います。しかしタクシーの営業まで止めてしまうと、困る方もたくさんいるのです。たとえば妊婦さん。

 妊婦さんが救急車を呼んでもよいかについても、議論が分かれるところです。もしも、台風のさなかに陣痛が来たものの、救急車を呼ぶのは迷惑だと考えている方がいたとき、タクシーも呼べないとなれば大変なことになってしまいますよね」

 タクシーが公共交通に含まれるかそうでないかは議論が分かれるところだろう。電車やバス、船などの他の乗り物は、あらかじめ経路やダイヤ、料金が定められている。一方でタクシーも、バリアフリー設備などを備えることを義務づけられたり、交通弱者の救済手段となるなど、公共性を備えているのも確かだ。

 タクシードライバーも、なるべく稼ぎたいという気持ちと、公共性のある乗り物を運転しているという規範意識の狭間にいる。ドライバーの給与形態は多様だが、多くは完全歩合制か、基本給+歩合給という仕組みで、いずれにしても乗車売り上げが収入に大きく影響する。割のいい長距離の客はつかまえたいが、近距離でも本当にタクシーを必要としている人を救わなければならないというジレンマが存在する。

 他方で、距離と時間のどちらを優先するかは、混雑時のタクシードライバーの腕の見せどころとなる。タクシーの料金は時間距離併用制が適用されており、実際に走った走行距離に基づく料金に、信号待ちや渋滞で速度が10km/h以下になった場合に、走行時間を距離に置き換えた料金が加算される。

 通常時は、最短距離を進めばもっとも料金が安くなるが、激しい渋滞で時間がかかる時は、空いている回り道を行ったほうが安くなる場合がある。東京−成田間のような長距離の場合は、それが顕著になる。

ドライバーのアタリ・ハズレの見分け方

「率直なところ、タクシーの中には渋滞の車列でポケーッとしているドライバーもいます。私の会社で、9月9日に成田へ行ったドライバーのうち、もっとも時間がかかった人は5時間だったそうです。他社では6〜7時間かかった人もいるといいます。なんの工夫も努力もせず、お客様に費用と時間を浪費させてしまっているわけです。

 ドライバーのアタリ、ハズレを見分けることは困難です。特に今回のような特殊な状況では、運不運も大きく影響しますしね。私も、たまたま自分が知っている地域であり、通ったことのない道の話を友人から聞いたばかりだったので上手くいきましたが、これが神奈川や東京西部の多摩方面でしたら、こうはいっていなかったでしょう。

 しかしあえてアドバイスするとすれば、東京近郊で長距離利用する場合は、東京四社(東京23区と武蔵野市、三鷹市を営業区域とする、大和自動車交通・日本交通・帝都自動車交通・国際自動車のこと。各社の頭文字から「大日本帝国」とも呼ばれる)のタクシーを選ぶべきだということでしょうか。東京のタクシーには大きく分けて2種類あり、23区+αをまんべんなく営業する東京四社と、特定の地域を専門に営業するローカル会社があります。

 普段から営業範囲の広い東京四社のドライバーは、中・長距離の土地勘がある。逆にそれ以外のローカル会社は営業範囲を限定しているので、短距離の細かい地理に通じています。最寄り駅から会社名や建物名を言っただけでわかるような人は、ローカル会社のドライバーに多いですね」

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