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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

アベノマスク8000万枚“押し付け”の税金無駄遣いに永田町も騒然…9月の解散総選挙は消滅か

文=神澤志万/国会議員秘書
アベノマスク8000万枚押し付けの税金無駄遣いに永田町も騒然…9月の解散総選挙は消滅かの画像1
安倍晋三首相(写真:日刊現代/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 ニュースを見ていて、驚きのあまり思わず「マ?」とギャル語を使ってしまいました。「マジで?」の意味です、念のため。

 なんと、あの「アベノマスク」をまたもや配布するのだそうです。しかも8000万枚も……。報道によると、すでに「発注済みの分」とのことですが、ネットの反応を見ても「なぜ今?」的な批判がほとんどの印象です。

 安倍晋三首相は国会が閉会した翌日の6月18日を最後に一度も記者会見をしておらず、存在感が薄れていたのに、まさかのアベノマスク復活。永田町の住人もみんなびっくりですよ。そういえば、北海道新聞は「説明責任を果たしていない」と厳しく批判していましたね。

 永田町では「解散の時期を見極めるために高みの見物をしてるんだろう」と言われていましたが、まさかアベノマスクプランを練っていたとは……。ネット上は不要論で埋め尽くされ、さんざん叩かれていたのに、世間の声を聞こうとすらしていないのですね。

 もはやアベノマスクは流行語大賞にノミネートされるレベルですが、決していい意味では使われていなかったはずです。それなのに、なぜ官邸は軌道修正できないのでしょうか? すでにマスク不足も解消されつつありますし、「それよりも、税金の使い道ならいくらでもあるでしょ」と多くの人が思っているはずです。

問題だらけのコロナ給付金&支援金制度

 アベノマクスも問題ですが、コロナ給付金も問題山積ですね。神澤は、政治とは世の中の不公平感の是正に努めることだと思っています。現在のコロナ危機に対して政府はさまざまな支援策を打ち出していますが、その中にも不公平感をぬぐえないものがあります。その是正を訴えても、お役所は「何が不満なんだ!」という態度で理解してくれません。

 そのひとつが、以前からお伝えしている「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」です。本来は、事業主は既存の「雇用調整助成金」で補償すべきなのですが、これは対象事業者の労働保険加入が要件で、手続きも煩雑なので、小規模事業所や個人事業主などは手続きを怠るケースが続出しているようです。

 休業支援金は、その救済策として始まった画期的な施策のはずでしたが、スタートしてみると、いろいろと不備があることがわかってきました。まず、申請書類には事業主の協力が必要です。労働基準法などを守っていない事業主は発覚を恐れて協力しないので、申請をあきらめる労働者が多く、救済策になっていないのです。

 厚生労働省の職員によると、「不正受給を防ぐために事業所を特定する必要がある」ということですが、特定だけなら他の方法でもいいですよね。でも、理解してもらえません。

 ただ、事業主の協力がなくても申請できるので、あきらめずにぜひ申請してほしいと思います。とはいえ、申請してから受給まで1カ月半以上かかることと、労働局が事業主へ確認した際に事業主が「NO」と答えたら支給されないことも問題です。もう、うんざりですよね。

 2つ目は、国民全員に支給される「特別定額給付金」です。令和2年4月27日の「基準日」以降に亡くなられた方が世帯主かどうかで受給できないのは、とても不公平ですよね。

 世帯主でない方が亡くなった場合、世帯主は亡くなった方の給付金も受給できますが、世帯主が亡くなられた場合は、その世帯に支給されないのです。これについて、総務省は「世帯単位での支給なので、世帯主が亡くなって世帯が消滅すれば支給されないのは当然」との説明ですが、それってどうなんでしょうか。

 また、この基準日の対応に自治体によってばらつきがあるのも問題です。基準日にはご存命だったのに、自治体の申請書類発送が遅れて書類が届く前に亡くなった方が権利を失うケースもあり、ご遺族から相談を受けましたが、なかなかお力になれません。

 もうひとつ、「小学校休業等対応支援金」の問題もあります。会社員の半額とはいえ、フリーランスの方も補償の対象とされましたが、政府は「フリーランス」の定義を間違えているように思います。

 フリーランスとは、組織に所属せず、自身の能力を活かして仕事する道を自ら選んだ人たちのことだと、神澤は理解しています。それなのに、補償を受けるには企業との契約書の提示が求められます。契約書を交わさずに仕事を請け負うことも多いフリーランスの性質上、実際にこの制度で支援を受けられるのは、フリーランス全体の5%と言われています(全国商工団体連合会調べ)。

9月の解散総選挙は消滅か

 このような実態にそぐわない制度を創設し、「休業支援やってるぜパフォーマンス」を行っているのが、現在の安倍政権なのです。しかし、これは政権が変わったら改善されるとも言えないと思います。霞が関のお役人たちがもっと国民目線にならない限り、どんなに政治家が素晴らしい政策を提示しても、それを具体化する官僚たちに理解力が足りない現状では、何も変えられないと思います。

 つまり、柔軟性が必要なんですね。そして、柔軟性にはマンパワーが必須です。多くの問題を改善し、実態に沿った制度に変わっていくように、みなさんもあきらめずに声を上げ続けてほしいと思います。

 その声を上げる方法のひとつが、総選挙で衆議院議員を選ぶことだと思います。選挙はいつになるのでしょうね。まだ断言はできませんが、神澤的には9月の解散総選挙の可能性はなくなったかなと感じています。

 その理由は、永田町の全体的な雰囲気もありますが、元文部科学大臣の馳浩衆議院議員が9月13日のプロレス大会に出場すると発表されたからです。元閣僚ですから、当然、総選挙の動向を見極めてのことでしょう。

 まあ高度なテクニックとして、総選挙前にポスターに写真や名前を使って地元での知名度を上げようとしているのかもしれませんが、そのためにプロレスを利用するのは批判も想定されるので、そこまではさすがにしないと思います。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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