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政府税調、コロナ下で消費再増税を検討…会議のウェブ動画閲覧できず、発言者名も回答せず

文=編集部
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財務省(Wikipediaより)

 新型コロナウイルス感染症による不況へ追い打ちをかけるような話題が、世間に衝撃を与えている。 

 時事通信は5日、記事『「消費増税中核に」 政府税調、財政悪化を懸念』を配信した。同記事によると政府税制調査会(首相の諮問機関)の「会合では新型コロナウイルス対応で財政悪化が一層深刻となっていることを懸念し、『消費税増税を中核に据えた、骨太の議論が必要ではないか』といった意見が出た」「出席委員からは『次世代の負担を増やさないため、どういう税収確保が望ましいか議論する必要がある』などの指摘が相次いだ」という。

ひろゆき氏「庶民は生かさず殺さずで、増税する」

 この会合の内容に関して、インターネット上では批判の声が噴出している。2ちゃんねる開設者の西村博之(ひろゆき)氏は以下のように自身の公式Twitterアカウントに投稿し、政府関連の有識者を強烈に皮肉った。

「新型コロナウイルスで財政が悪化して、政権と仲良しな会社や学校にお金を配れなくなるので消費税を上げるように政府税制調査会(首相の諮問機関)が検討。

 庶民は生かさず殺さずで、増税するのは江戸時代から変わってないですね」(原文ママ)

 昨年実施された消費増税で2019年10~12月のGDP成長率がマイナス1.6%(年率マイナス6.3%)に落ち込むなど、消費増税が景気停滞の要因になったことを示す指標も出始めている。インターネット上では同会議で、誰がどのように発言したのかを明らかにするよう求める声が上がっている。

税制調査会事務局員はテレワークで不在

 ちなみに同調査会の委員は以下の通りだ。

井伊重之 ㈱産業経済新聞社東京本社論説委員

井伊雅子 一橋大学国際・公共政策大学院教授

岡村忠生 京都大学法学系(大学院法学研究科)教授

加藤淳子 東京大学大学院法学政治学研究科教授

佐藤主光 一橋大学大学院経済学研究科、国際・公共政策大学院教授

神野直彦 日本社会事業大学学長・東京大学名誉教授

清家篤  慶應義塾学事顧問/日本私立学校振興・共済事業団理事長

関根達雄 ㈱読売新聞グループ本社取締役、㈱読売新聞東京本社相談役

武田洋子 ㈱三菱総合研究所政策・経済研究センター長・チーフエコノミスト

辻琢也 一橋大学大学院法学研究科教授

寺井公子 慶應義塾大学経済学部教授

土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授

刀祢館久雄 公益社団法人日本経済研究センター研究主幹

中里実 西村高等法務研究所理事

中空麻奈 BNPパリバ証券㈱市場調査本部長

仲村教子 ㈱風讃社編集本部部長・ひよこクラブエキスパートエディター

沼尾波子 東洋大学国際学部教授

増井良啓 東京大学大学院法学政治学研究科教授

宮崎緑 千葉商科大学教授・国際教養学部長

吉村政穂 一橋大学大学院法学研究科教授

 土居丈朗氏や佐藤主光氏など“財政緊縮派”として知られる論客や『「分かち合い」の経済学』(岩波新書)の著者である神野直彦氏らそうそうたる顔ぶれだ。

 まず、税制調査会事務局を務める内閣府大臣官房企画調整課にどの委員の発言だったのかを問い合わせたが、「担当者がテレワーク中のため不在で誰も回答できない」とのことだった。今回の調査会はWEB会議で行われ、会議の模様もネットで中継され、19日まで公開するとのことだったのだが、動画は6日正午現在、閲覧できない状態になっている。基本的に税制調査会を含む政府審議会の議事録は、発言者の名前を明記した上で作成されることになっているので、公開された段階で判明するのだろうか。

不透明な政策決定プロセス

 全国紙記者は話す。

「1月10日の第1回総会で中里会長から、議事録については発言者の名前を入れた議事録を作成し、委員が内容を確認した後に公表するということで決まりました。ただ、問題は『委員が内容を確認した後に』という部分です。各委員が自身にとって都合が悪い部分は削除することができますし、『公開することで公平かつ中立な審議に著しい支障が出る場合は非公開にする』という奥の手があります。事実、過去の税調の議事録も実名表記になっていたり、『委員』としか記載していなかったりとまちまちです。

 政策決定過程で、誰がどのような発言をしたのかについての記録は非常に重要です。一方で記者の傍聴は許可されているものの、委員の発言を実名で報道しようという編集方針の社はあまりなく、結果として今回のようなざっくりとした報道が独り歩きする傾向にあるのだと思います」

 どんな内容の意見表明であっても、誰かに妨げられることがあってはならない。だが、政府の政策決定に重要な指針になり得る会合で、各界を代表する有識者として招かれているのであれば、委員の発言には責任が生じるだろう。近年高まり続けている国民の政府への不満の一端に、不透明な政策決定過程があることは疑いない。

(文=編集部)
 

BusinessJournal編集部

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