
コロナ渦のさなか迎えた2020年度上半期の中間決算。早いところはすでに発表が始まっているが、ピークは11月第2週に集中しそうだ。東証一部上場企業は全2160社(2019年末時点)あるが、緊急事態宣言で外出自粛となった4、5、6月の第1四半期決算では、金融を除く全体の98.9%に当たる1313社中、最終赤字企業は431社、減益企業が481社を数え、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく響いた。
一方、外出自粛による「巣ごもり」需要で業績を伸ばした企業もあった。即席麺、冷凍食品大手の日清食品ホールディングスは過去最高益を更新。ゲームソフト「あつ森」が大ヒットした任天堂も大幅増益となった。しかし、コロナ渦で先が読めないためか、日清食品ホールディングスも第2四半期決算予想は非開示。今期(2021年3月期)の業績予想も微増に留めた。任天堂も第二四半期決算予想は未開示で、今期(2021年3月期)の業績予想は減収減益とした。
「34期連続過去最高益」を達成したニトリの驚異的な記録
こうしたなかでひときわ異彩を放ったのが、2020年2月期決算で「34期連続過去最高益」と驚異的な記録を更新したニトリホールディングスと、2020年3月期決算で32期連続過去最高益を更新した中堅食品スーパーのヤオコー(埼玉県川越市)だ。どちらも第1四半期決算で今期業績予想(経常利益)に対する進捗率はすでに41.9%に達していた。
ニトリは10月2日に第2四半期決算を発表しており、「巣ごもり」需要を背景にネット販売を強化し、台所用品やダイニング家具、テレワーク用のパソコンデスクなどが売上を伸ばした。上期決算は売上高3624億8100万円(前年同期比13%増)、経常利益810億6700万円(前年同期比43.4%増)で、通期業績予想(経常利益)1341億円に対する進捗率は60.5%に達した。今後は業績予想のさらなる上方修正に期待がかかる。
ヤオコーの強みは「小商圏における個店経営」
ヤオコーの数字も見てみよう。食品スーパーはコロナ渦でも伸びている業種だが、ヤオコーの伸びはそのなかでも圧倒的だ。今年8月11日発表の第1四半期決算では、売上高1299億2500万円(前年同期比17.3%増)、営業利益83億2800万円(前年同期比60.1%増)、経常利益83億4200万円(前年同期比59.6%増)、最終利益56億3200万円(前年同期比62.6%増)で、売上営業利益率も前年同期比の4.7%から6.7%に改善した。
ヤオコーはなぜ強いのか。その強みは昔から変わらない。小商圏における個店経営である。イオンやイトーヨーカドーなどの大手スーパーが大商圏(半径5キロ圏内)で、本部主導の広域大量販売であるのに対し、ヤオコーは小商圏(半径1キロ圏内)で、店舗主導の地域密着少量販売を展開している。大手スーパーの本部経営に対し、ヤオコーは1995年頃から個店経営を採用し、店長を中心にパートも参画する店舗運営と利益管理に移行。パートにも年2回のボーナスを支給していることでも有名だ。
経済評論家の荻原博子氏に話を聞いた。