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垣田達哉「もうダマされない」

国民からの問い合わせ電話を一方的に切る環境省…同省認定事業者の不正を指摘したら

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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環境省 HP」より

 地域版フリーペーパーに「パソコンの無料回収」という広告があった。その業者は、小型家電リサイクル法環境省認定業者で、筆者も古いパソコンがあったので、申し込もうと、その業者のHPを開いた。

 トップページには大きく「パソコン無料回収の○○」(○○は会社名)とある。そこには、無料でない条件は一切示されていないが、実際にはパソコンのデータ消去を会社側に任せると3000円の費用が発生する。それを選択する画面も途中にあるが、すでに「お任せする」ほうが選択されている。下には小さく3000円とあるが、お任せすると3000円かかるということは、よく見ないとわからない。無料の回収を謳っていて、その条件も表示されていないので、お任せも無料だと勘違いする消費者もいるかもしれない。すべてが無料だと思い込んで、「ご自身で消去する」を選ばないと、回収時に3000円を請求されることになる。

 もう一つ調べてわかったことだが、フリーペーパーの広告では「全国の自治体と連携して小型家電リサイクルを推進しています」と謳っているが、すべての自治体ではない。小さく連携している自治体名が掲載されているが、最後に「など」となっているので、広告ではすべてを確認することができない。しかし、回収は全国どの地域でもするとあるので、連携していない自治体では無料とはならない。

 無料にするためには各種条件があるのに、フリーペーパーにもHPにも、それを隠すかのような表示をしている。これは、消費者に誤認を与える表示だと筆者は思ったので、早速、環境省に電話をした。

「私にも仕事がありますから」

 電話に応対した職員から名前も告げられ、表示方法について画面を見ながら、いろいろと話をしたが、筆者が言いたいことは「消費者に誤解を与えるのではないか」ということと「環境省が認定している以上、こうした誤解を与えるような回収方法をしている業者を指導しないのか」の2点だった。

 まず「誤解を与えるかどうか」については、「わかりにくい」ということはなんとなく理解されたが、勘違いする消費者側にも問題があるのではないかというニュアンスのことを言われ、業者側に非はないというスタンスであることが伝わってきた。

 次に「環境省は指導をしないのか」という点については「環境省はちゃんと回収しているかどうかを見ているだけで、消費者と業者の契約については関知していない」という返事であった。そこで「ちゃんと回収しているというのはどういうことなのか。消費者から回収する方法に問題があっても、環境省は指導しないのか」と詰め寄ったが、その職員は「私にも仕事がありますから」と言って、電話を一方的に切った。おそらくクレーマーだと思われたのだろう。

 環境省のトップである小泉進次郎大臣は、職員に対し「クレーマーだと思えば一方的に電話を切れ」と指導しているのだろうか。環境省の認定業者だという錦の御旗をかざして、消費者をだまそうとしている業者かもしれないのに「業者は悪くない。たちの悪い消費者は無視しろ」という態度には、唖然とさせられた。今まで、いろいろな省庁に問い合わせをしているが、親切に応対する省庁ばかりだったので、初めて電話をした環境省が、こんなにも事業者優先で国民の意見を無視するとは、あきれるのを通り越して怒りさえ覚える。

業者の言うことしか聞かない省庁

 健康食品等で以前から問題となっているが、「お試し半額」というキャッチフレーズに乗せられて、よく確認しないで注文すると、それは1年契約が条件だったという広告宣伝が絶えない。消費者庁も消費者に注意喚起をしているが、契約してから気が付いたという事例が絶えない。本来、購入する際の条件は、キャッチコピーと同じ大きさで、最初に消費者に伝えるのが正しい方法である。

 環境省の職員の方は「正しくやれば、無料になる」と話していたが、正しくしないと有料になることがあるということになる。無料と思って「次へ進む」を無意識にクリックすると、いつの間にか有料になっている。最終的に確認画面があっても、消費者は思い込むと、いちいち確認しないで、すべて無料だと信じ込んでしまうことがあるのだ。

 筆者は、地元の消費者相談センター(等)にも電話をし、一緒にこの業者のHPを見ながら疑問をぶつけたが、その相談員はよく理解してくれた。では、なぜ環境省に連絡をしたかというと、環境省、つまり国が認定をした特別な業者だからだ。業者は「認定であること」を宣伝文句に使っている。「国が認めた企業だから安心してご利用してください」と謳えば、それだけで信用する消費者も多い。

 環境省も本来、国民に密着した省庁のはずだ。消費者に負担を強いるレジ袋有料化についても、小泉環境相は国民に対し「環境に対する意識を高めてほしい」と述べている。国民には一方的に負担ばかりを強いて説教をするが、「業者に問題があるのではないか」という国民の声は無視し、こともあろうに「私にも仕事がありますから」と一方的に電話を切る。環境省は、いつから「業者の言うことしか聞かない省庁」になってしまったのだろう。「国民の声を聞くことは仕事ではない」という省庁にしたのは、すべてはトップの責任である。

 業者の言うことは聞くが国民の声は無視をする。いったい、行政は誰のために仕事をしているのか。これこそ行政改革しなければならない最優先課題ではないか。省庁のトップが何もしないのであれば、菅義偉首相や河野太郎行政改革担当大臣には、ぜひとも「事業者の利益ではなく、国民の利益につながる行政改革」をしてほしいものだ。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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