楽天モバイルは、料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」への申込み数が累計300万回線を突破したと発表した。「Rakuten UN-LIMIT」は、「1GBまでは0円」「1~3GBは980円」「3~20GBは1980円」「20GB超は2980円」とする激安料金で、新規契約者が急増している。
そんななか、福井ケーブルテレビと子会社のさかいケーブルテレビが、楽天モバイルの無料通話アプリ「Rakuten Link」を利用した場合に通話障害が起きているとして、楽天側に対応を求める声明出したことが大きな話題となっている。
両社が掲出した「【重要】楽天モバイルのRakuten Linkで通話が出来ない事象について」との声明によると、両社のネットサービスのWi-Fi接続下でRakuten Linkを利用すると、一方の音声が相手に届かない片通話状態や、電話の発着信ができなくなるという不具合が生じるという。
一部報道によると、福井ケーブル側が問題解決のために協力を打診したものの、楽天側から「対応はできない」と拒否されたという。この楽天の対応に、ネット上では批判の声が続出した。
ところで、なぜ楽天モバイルの携帯電話だけに通話障害が起きているのか。また、なぜ楽天側は早急に対処しなかったのか。スマホ評論家の新田ヒカル氏に話を聞いた。
「そもそも電話回線は、固定電話からスタートし、NTT回線同士でつながっていました。そこへ第二電電(KDDIの前身)をはじめ携帯電話、IP電話、光回線などが入り、さまざまなネットワーク仕様等の検証が必要になってきました。新規に電話事業に参入した楽天には、そのために必要な技術やノウハウ、人的リソースが足りないというのが現状でしょう」
今や電話はインフラであるから、接続障害が起きたら早急に原因究明すべきだが、楽天が対応を拒否するかのような態度を見せたことが批判を呼んだ。
「インフラは公共性が高いので安定したサービス提供が求められますが、楽天は“第4のキャリア”として利用者の獲得に尽力しているなかで、不具合の対応にまで手が回らないというのが本音でしょう。携帯電話は、一般電話やIP電話、国際電話、SKYPEなどのネット通話等、すべてのサービスとの接続を検証しなければなりません。当然、楽天も検証はしているとは思いますが、そこで不具合が出た場合に原因を究明するといった作業に対応するだけの余裕がないのかもしれません」
現在、楽天モバイルのHPには、「お客さまならびに関係者の皆さまにご心配とご迷惑をお掛けしていることを深くおわび申し上げます」と謝罪しつつ、福井ケーブルテレビ・さかいケーブルテレビと協働して、詳細を調査すると発表している。
今のところ、福井ケーブルテレビ・さかいケーブルテレビのWi-Fiにおいてのみ通話障害が報告されているが、今後ほかにも不具合が起きる可能性はある。そのような場合に、楽天には早急な対応が求められる。さもなければ、急速に獲得した利用者が、一気に離れていく可能性もある。
(文=編集部)