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トップダウンの“拡声器”役はもう古い…本当に優秀なマネージャーなら答えられる4つの質問

松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター
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「gettyimages」より

 みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーのブランディング専門家・松下一功です。

 新型コロナウイルス拡大によるリモートワークが推進されてから1年が過ぎ、もうすっかり慣れてきたという人も多いことでしょう。反対に、リモートワークによって社員同士のコミュニケーションが減り、人事など社内調整関連の仕事をされている方やリーダー職のいわゆる中間管理職の方々は、苦労していることと思います。

 前回、「優秀な人材が流出しない組織の特徴とは?」の記事でもお伝えしたように、次世代のマネージャーは部下たちのモチベーションを上げて、アドバイザー役として支えないといけません。しかし、この状況下では動き出しにくいという方もいることでしょう。

 そこで今回は、この話をもっと掘り下げて、従来と次世代のマネージャーの仕事の違いやあり方、そして、マネージャーが変わらないといけない理由やその方法などをお伝えしたいと思います。

“拡声器”として機能してきたマネージャー

 これまで、マネージャーはトップダウンの中間に位置して、トップの声を部下たちに伝える“拡声器”のような役割を担っていました。これは、製造業の現場をベースに考えられたもので、「いかに効率よく大量にものをつくれるか」に焦点を当てたシステムです。生産ラインがオートメーション化されていなかった時代は人の手による分業がメインだったので、いかに生産性を高めるかが重視されていたんですね。

 そこで、働き手を管理・統率する人として誕生したのがマネージャーです。マネージャーは管理力や統率力を持ち、トップからの指令をきちんと部下に伝えて、その通りに仕事を進ませることが任務です。これは、「ティール組織論」では「レッド組織」「アンバー組織」「オレンジ組織」あたりに該当します。

●レッド組織:特定の個人の力で支配的にマネジメントされる
(トップの影響力が強く再現性が低い、組織として脆弱)

●アンバー組織:個人に役割を与えられ、それを厳格に全うする
(軍隊のような組織で力強い半面、変化に対応しづらい)

●オレンジ組織:ヒエラルキーが存在しながらも、成果により昇進できる
(今の日本に多い形。個人の考えがなく機械化しがち、評価が優先になり忖度が生まれる)

 高度成長期であれば、この組織形態でもよかったのですが、その後、日本は経済大国として名を馳せ、テクノロジーが素晴らしい進化を遂げました。また、モノが行き渡り、大量生産の必要性も薄れていきました。つまり、大量生産を目的に働き手の管理・統率をする必要がなくなってきたのです。

トップダウンで「売ってこい!」はもう古い

 一昔前までは、よく「(商品やサービスを)売ってこい!」という言葉が会社内に響き渡っていたものです。若い人たちは信じられないかもしれませんが、「仕事をする=売る」ことだったのです。確かに、商品やサービスを売って利益を出さないことには会社が存続できないし、社員の給料も出せないので、この考えが間違っているとは言い切れません。

 しかし、今やそんなことを当たり前に言う会社で働きたいと思う人は少ないでしょう。また、そんな会社の商品やサービスを買いたいと思う消費者も減っていると思います。

 テクノロジーが進化し、報酬よりもやりがいを求めて働く人が多い今の時代に、「売ってこい!」という姿勢はアンマッチなのです。今は、その商品やサービスを売らないといけない理由、消費者が購入した方がいい理由、そして、会社が存在する理由や使命などに重点を置いて考える必要があります。

 これは、いわゆる「理念経営」で、会社の「ミッション」「ビジョン」に共感する人が仲間になるという発想です。そんな中で、マネージャーが今までと同じように上からの命令を部下に伝えて管理・統率しようとすると、浮いてしまっても仕方ありません。

 つまり、文化が変わり、人々の意識が変化し、会社もそれに合わせて変化していかなければならない今、マネージャーという仕事の本質も変わらざるを得ないというわけです。

次世代マネージャーに求められる2つの要素

 では、次世代のマネージャーには、どんな役割が求められるのでしょうか? それは、「whyを理解して説明すること」と「コーチング・マインドセットを身につけること」です。

 コーチングとマインドセットについては、ピンとくる人も多いでしょう。コーチングとは、対話することで相手の目標を見つけて、その達成に向けてサポートすること。マインドセットとは、物事を多角的な視点から見て、先入観や思い込みをリセットすることです。

 では、「whyの理解と説明」とはいったい何でしょうか? ここで、少し質問させてください。

・あなたは、会社の理念や使命を知っていますか?
・なぜ仕事をしないといけないのですか?
・仕事をする価値とは何ですか?
・お客さんの得られる幸せは何ですか?

 これらの質問にスラスラと答えられた人は、「why」を理解し、説明できていると言えます。つまり、「whyの理解と説明」とは、仕事にまつわるたくさんの「なぜ?」を理解した上で、自分なりの答えを持っているかどうかということです。

 これができれば、部下が感じている「なぜ?」に応えることができ、本人が正しいと思う方向へ導くことができます。そのうち、部下一人ひとりが自ら考えて行動するようになり、営業目標やノルマなどの数字は後からついてきます。さらに、人為的なミスが減るだけでなく、クレームの減少も期待できます。

 人は「なぜ?」で動くものです。そして、日々の仕事で「なぜ?」が出てくるシーンに一番直面するのがマネージャーなのです。

 次回は、次世代のマネージャーの育成方法についてお伝えします。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)

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