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出前館、3年分の利用代金を一括請求?システムエラーで未決済、時効消滅分まで請求か

文=編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表
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「株式会社出前館公式」YouTubeより

 新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、急速に需要が拡大したデリバリーサービス。ウーバーイーツや出前館を利用して、さまざまな飲食店の食事を自宅に配達してもらう便利さを一度知ってしまうと、すっかりハマってしまうという声もよく聞く。

 そんななか、出前館で決済トラブルが発生していたと報じられ、話題になっている。出前館が公式サイト上で明らかにしたところによると、「d払い」「auかんたん決済」「ソフトバンクまとめて支払い」などのキャリア決済を使った注文の一部で、エラーが発生していたという。

 出前館は対象者に通知し、未決済分について支払いを求めているが、請求を受けた一部のお客からは悲鳴の声があがっている。

 報道によると、お客がキャリア決済を利用して支払った代金が、システムの不具合により出前館に支払われず、返金または請求取り消しになっていたという。しかも、そのトラブルは2018年8月から2021年4月15日まで続いていた模様だ。

 対象者のなかには、3年近くの利用料金をまとめて請求されているケースもあるようで、SNS上で悲鳴が上がっている。しかも、2週間以内に支払うように命じられているといった声が出ている。だが、これらの料金は必ず支払わなければならないのだろうか。なかには金額が大きくなり、短期間での支払いが困難な人もいるだろう。そのような場合に、救済策はないのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は、次のように解説する。

「報道によると、2018年8月からエラーが発生していたとのことですが、2020年4月以前の注文(2018年8月から2020年3月までの注文)については、この月に施行された改正民法ではなく旧民法が適用されるので、1年経てば消滅時効を援用できます。

 つまり、2020年3月31日までの注文については、今日の時点で1年が経過しているので、時効消滅していることを宣言すれば、支払う必要はありません。

 2020年4月1日以降に注文した分については、消滅時効なんて到底成立しないので(基本は5年)、支払わなければなりません」

 実は昨年4月に民法が改正され、飲食代金などに定められていた時効の期限が延長され、現在は「5年」となっている。だが、その改正民法が適用されるのは昨年4月以降に注文した分に関してのみ。

 昨年3月以前の飲食代金については、時効が1年で成立する。つまり、いくら出前館から請求されたとしても、昨年3月以前の代金については支払いの義務はないということになる。もちろん、自分の食べた分はちゃんと支払いたいという方は、支払っても差し支えない。

 Business Journal編集部は、以下5点について出前館に問い合わせた。

・決済トラブルの原因は判明しているか

・対象者の人数や回収できていなかった総額

・時効消滅していると考えられる利用代金についても請求しているのか

・また、時効が成立している場合の代金について、支払いは任意であることも通知しているのか

・システムエラーのお知らせページを公式サイトにも掲載せず、「noindex」として検索されないようにしている理由は何か

 しかし、期限までに回答は得られなかった。

(文=編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

出前館、3年分の利用代金を一括請求?システムエラーで未決済、時効消滅分まで請求かの画像2山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

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