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愛知“密”野外フェス、主催者「事実と異なる」謝罪で批判増大…法的な責任は?

文=編集部
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「namimonogatari.com」より

 愛知県常滑市の国際展示場「Aichi Sky Expo(アイチ・スカイ・エキスポ)」で8月29日に行われた野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI2021」が、新型コロナウイルスの感染対策が不十分だったと指摘された件で、主催したoffice keefが30日夜に公式サイト上に謝罪文を出したが、批判の声が収まるどころか、かえって増大している。

 NAMIMONOGATARIは2005年よりスタートした日本最大級のHIPHOP・R&Bビーチ野外フェスで、2011・12年には愛知県伊良湖岬の特設会場で開催され、2016年からは愛知県常滑りんくうビーチにて毎年開催、今年はアイチ・スカイ・エキスポで行われた。

 このように、NAMIMONOGATARIは愛知県を拠点として巨大な音楽フェスへと発展してきたが、その愛知県は新型コロナの感染拡大を受けて8月8日にまん延防止等重点措置、同27日からは緊急事態宣言が発出されている。

 そんななかで、8000人を超える(主催者発表)観客が押し寄せ、マスクを着用しない客も多くいる状態で、密な状況となり、さらに酒の提供も行われていたという。このフェスに参加したという男性は、「ソーシャルディスタンスを保つように、という案内はありましたが、パフォーマンスが始まると周りの人と触れ合うくらい密集していて、距離を取るのは不可能でした」と振り返る。しかも、マスクを外している人も多く、大声で歌ったり声援を送る人も少なくなかったとして、感染拡大を危惧する。

 参加したファンらがSNS上で現地の様子を投稿すると、イベント主催者をはじめ、出演者たちに対する批判が殺到。愛知県の大村秀章知事や常滑市の伊藤辰矢市長も、主催者に対して厳しく非難する声明を出した。これを受けて、出演したアーティストたちも続々と謝罪する事態になった。

 なかなか表に出てこない主催者に対して不満の声が高まるなか、30日夜になってoffice keefは公式サイト上で謝罪文を公開。

 そこでは、イベントを開催したことについて、イベントの前日に緊急事態宣言が発令されたが、「全ての準備が終わっていたタイミング」だったため、「中止や延期にすることが物理的にできませんでした」と釈明。

 また、酒を提供したことについては、10日前の時点で「過度な飲酒でなければお酒の提供も可能という状態で愛知県から話を頂いた」、さらにその後に「酒類の販売の自粛要請も頂いていましたが、一部キャンセルできない物を販売しますと愛知県担当者に報告」したと説明。

 だが大村知事はこの謝罪文について、「自分たちに都合の良いように事実と異なる記述がなされています」として事実関係を否定して主催者を再び非難。 「12日のWEB面談の際に、県から酒類提供の自粛を要請」し、飲酒を「可能と説明した事実はない」という。

 ほかにも、主催者は「20日にチケット販売を終了した」と主張しているが、12日に県側は販売の即時停止を要請したという。加えて、24日にキャンセルできない分の酒類販売をしたいとの申請を受けたが、あらためて「酒類提供の自粛を強く要請」したうえ、イベント直前の26、27日にも酒類提供の自粛をメールで訴えたという。

 大村知事は主催者に対して再三、連絡を取ろうと試みているが、まったくつながらないとして不快感をあらわにしている。HP上に謝罪文を出したものの、代表者の記名などもなく、事実を歪曲した説明をしていることなどから、「このイベントはもう終わり」と厳しく非難。伊藤市長も「市民の努力を愚弄する悪質なイベント」「二度とりんくうビーチは使わせない」と強い言葉で抗議している。

 ところで、このような愛知県所有の施設を利用しているにもかかわらず、利用規約や県・市からの要請を無視した場合、なんらかの処罰を受けることはないのだろうか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は、「利用規約は法律に基づくものではないので、違反者に対する罰則などの法律効果はありません。せいぜい、次回の利用が断られるという程度です」と説明する。

 これだけ大きな問題を起こしたNAMIMONOGATARIは来年以降、愛知県内ではイベント開催できなくなる可能性が高い。伊藤市長は、NAMIMONOGATARIについて、以前から「トラブルの絶えないイベント」だったと語っており、“トラブルメーカー”の印象が付いたこのイベとは、ほかの自治体でも受け入れは厳しいだろう。

(文=編集部)

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