礼を言うときに、「ありがとう」の一言だけでなく、「ありがとう。おかげで助かったよ」など、一言でも何かつけ加えると、言葉の意味の深みが増すものだ。
そうしたちょっとした一言が、人間関係に好影響を与えるケースはよくある。 たとえば人を動かしたいときがそうで、何かお願い事をするにしても、協力を募るにしても、普段からの一言の積み重ねがモノを言う。
『できる大人は「ひと言」加える』(松本秀男著、青春出版社刊)は、日本ほめる達人協会専務理事の著者が、できる人が知らずにやっている「言葉を1つプラスする」習慣を紹介する一冊。この習慣を身につけることで、周囲との関係が変わり、自分自身も前向きになるかもしれない。
ここでは、本書から一言加えるテクニックをピックアップしよう。
相手を呼ぶときは「肩書き」ではなく「名前」で
相手との関係を親密にして、自分を印象づけるためのテクニックとしてあげられるのが、「相手を名前で呼ぶ」ということだ。
相手を肩書きや役職名だけで呼ぶのではなく、「山田社長」「川口部長」というように名前で呼ぶ。
これが効果的な理由は、「その人を業務上の役割や機能として扱っているのではなく、一人の人間として向き合っていますよ」という表明になるから。つまり、名前を呼ばれることで承認欲求が満たされ、名前を呼んでいる人に対して親しみを覚えるということだ。
実際、アメリカ・テキサス州にある南メソジスト大学のダニエル・ハワード教授によれば、学生にクッキーを売るという実験で、相手の名前を呼んだほうが呼ばない場合と比較すると購入率が約2倍になったという。
また、これは個人名だけではなく社名も同様。「御社」ではなく相手の社名を言うことで、敬意が伝わるという。
質問をするときは相手の頭を動かすものを
もう一つ紹介しよう。
本書によれば、できる人とそうでない人の差は「質問力」にあるという。例えば、反射的にイエス・ノーや一言で答えられてしまうような質問ばかりしてしまうのは「できない人」の質問の仕方。一方で、できる人は即答できない、「脳を動かす質問」を繰り出す。
それは、「どういうところに力を入れていらっしゃるんですか?」というように、わざと漠然とした聞き方だ。まだ見ぬ未来のこと、誰もが考えていないことなどが、脳を動かす質問となるのだ。
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松本氏も「ひと言プラスする習慣」を続けることで、自分の印象が変わり、信頼を得て、仕事も人間関係も人生も全てがうまく回り出したという。 ほんの一言をおぎなうことで、人間関係、自分自身の評価や未来も変わるのかもしれない。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。