
筆者が教授を務める神奈川大学経営学部では毎年、冬にゼミナール対抗の研究大会が開催される。筆者のゼミでもテーマがやっと固まり、大会に向けて本格的な調査を開始しようという段階である。今年は3つのグループに分かれたが、そのうち2つが若者の消費行動に関するものとなっている。
なぜ若者はPBを買わないのか?
「どうして教員である自分がPB(プライベートブランド)のアルコールを飲んでいるのに、お金のないはずである学生がNB(ナショナルブランド)を飲んでいるのか?」という筆者の日頃のぼやきを学生が拾い上げ、研究がスタートしている。
NBとは、アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリービールのようなメーカーにより製造・販売されている商品である。よって、セブン-イレブンやイオンなど、コンビニ、スーパー等さまざまな店で消費者は購入することができる。
一方PBは、本来は商品を製造するのではなく、メーカーや問屋から購入し、消費者に販売する役割を担うはずの小売業者が製品企画を行い、製造を委託し、自社ブランドで販売する商品である。代表的なPBには、イオンの「トップバリュ」やセブン&アイグループの「セブン・プレミアム」などがある。一般に、卸売業者を介在させず、広告なども行わない、さらに大量の確定発注などによりコストを大きく引き下げ、NBと比較して3分の2から半額程度で販売される商品が目立つ。最近、注目を浴びる業務スーパーの加工食品にも、多くのPBが見受けられる。
若者のPBに対する消費行動
SNSをはじめとするインターネットは、負の部分に関心が集まる場合もあるが、我々に大きなメリットをもたらしていることも事実である。たとえば、アンケート調査といえば、筆者も経験があるが、以前であれば駅前など路上に立ち、紙の質問票に記載してもらうパターンが主流であった。この場合、そもそも答えてもらえる人を見つけることが難しく、さらに集計にも時間を要した。
しかし、近年の学生が行うアンケート調査では、自らのSNSでつながっている人を対象にMicrosoft Formsなどの集計アプリを活用し、極めて短時間で行われている。もちろん、サンプルの偏りや代表性などの問題は危惧されるが、学生が行う予備調査レベルであれば有効性は高いといえるだろう。集計結果の分析をはじめ、基本的な考え方や一連の手法さえ、しっかり習得できれば、就職後は勤め先の負担できっちりとした母集団に対して調査を行えばよいからである。