衣服や生活雑貨、食品など幅広く自社商品を展開する「無印良品」。我々の生活に密着した商品が多く販売されており、“無印系女子”“無印系男子”といった無印の商品をこよなく愛するファンも存在する。
そんな無印は、地域ごとのニーズに合わせた店舗づくりを進めており、それに伴い9月10日に新宿の旗艦店である2店舗「MUJI新宿」「無印良品 新宿」がリニューアルオープンした。
「MUJI 新宿」は、環境や社会の課題に注目して生まれた商品やサービスに加え、アートやデザインをテーマにした雑貨、家具を販売。一方、「無印良品 新宿」は日々の生活には欠かせない日用品の販売に力を入れている。化粧品や掃除用品、冷凍食品、日替わり弁当など、暮らしのベースとなる日用品の品揃えを以前より重視した店舗へと改装されたという。
そこで今回、新たにリニューアルされた新宿の無印2店舗が、実際どのように生まれ変わったのかレポートしていこう。
「MUJI 新宿」サスティナブルな商品を揃えた店舗づくりが印象的
まずは、新宿駅から徒歩4分の場所に立地する「MUJI 新宿」へ向かった。B1F、MBF、1F、2Fの店舗構成となっている。
1階のフロアには「ReMUJI」の商品が多数販売されていた。「ReMUJI」商品は、2015年から販売が開始された商品で、消費者が必要のなくなった無印良品の衣類を回収し、その衣類を染め直したり、洗い直したりしたリユース商品である。
「MUJI 新宿」では、新たに「ReMUJI」商品のカラーバリエーションを追加。藍色、淡色、墨黒など鮮やかな色に染められた商品が並ぶなかで、「ReMUJI つながる服 シャツ」といった、リユースされたシャツにパッチワーク加工が施された商品も販売されていた。
回収した衣類のなかで、破れていたり、ほつれていたりしたものはこれまでリユース対象外となっていたが、この店舗では使える布部分をつなぎ合わせて、ポーチや新たな衣類としてリユースし再販売しているのだ。
なかでも1階フロアで真っ先に目についたのが、「ReMUJI」商品に囲まれて展示されていた「衣類の再生展」というコーナー。「MUJI新宿」と文化服装学院がコラボしてつくられた展示物で、消費者から回収した無印の衣類が天井から吊るされている。まさにサスティナブルをテーマとした作品だった。この展示コーナーは12月31日まで設置されるとのこと。
不要になった無印の衣類を回収するボックスはこの展示物付近に配置されている。ボックスの上には、回収された衣類がどのようにリユース、リサイクルされていくのかを説明する紙が貼られていた。この回収ボックスは、今回リニューアルされたもう一方の店舗「無印良品 新宿」にも設置されており、今後都内の店舗すべてに配置される予定だそうだ。
また、「MUJI新宿」には回収・リサイクルセンターが設置されていた。服の回収だけでなく本や、保冷剤、紙袋、PET容器、欠けた食器など、多岐にわたって回収しており、それぞれさまざまな用途で再利用されるという。
奥に進み、2階へと向かった。2階には、無印ならではのお菓子や食料品の他にIDEEの商品が主に販売されていた。IDEEとは「生活の探求、美意識のある暮らし」をコンセプトに、オリジナル家具やインテリア雑貨の販売、様々な国の伝統作品やアーティストとのコラボレーションプロジェクトなどを展開するインテリアショップである。
2010年には無印良品とIDEEの共同プロジェクト「MUJI meets IDEE」も展開され、両者は現在でも密接な関係を保っている。無印のシンプルな雑貨とは対照的に、色とりどりの伝統的な雑貨に囲まれ新鮮な気分に浸ることができた。
再び1階へと戻り、そのひとつ下のMBフロアへ。MBフロアには、衣類や雑貨が主に販売されている。このフロアのメインは「ワケありの商品を販売いたします」の言葉とともに設けられた「もったいない市」。
ほんのわずかに傷がついていたり汚れていたりするが、使用する分には問題ない雑貨が安く提供されている。赤シールが貼られているものは20%オフ、緑シールは30%オフ、青シールは50%オフとお買い得商品が勢揃い。もう1つ階を下がったB1フロアにも「もったいない市」の商品が多く販売されているのだ。
B1フロアでは、主に家具や家電を中心としたワケあり商品を販売。一見ワケありに見えない家電商品でも半額ほどに値引きされている商品もあり、すでに「ご売約済み」の紙が貼られている家具もあった。使えれば少し汚れていても気にならないという方は、ぜひこのフロアでお安く購入することをおすすめする。
「無印良品 新宿」従来の無印よりもさらに身近な店舗へ
続いて「MUJI 新宿」からすぐ近くにある「無印良品 新宿」に向かった。「無印良品 新宿」は、B1F、1F、2F、3Fの店舗構造になっている。
入店すると今まで見たことがないくらい棚にぎっしり無印の食品が詰め込まれていた。無印の目玉食品のレトルトカレーや冷凍食品まで販売されている。
「無印良品 新宿」は、新宿エリア最大の食品の品揃えに加えて、新宿エリア初の冷凍食品取り扱い店舗だという。一時期話題となった日替わり弁当もしっかり販売されている。この日は深川めしが販売されていたが、鮭弁当や鶏めし、牛すき飯などレパートリーも多い。
2階、3階では生活雑貨や家具を中心に販売されていた。生活雑貨の取り扱い点数に関しても、新宿エリア最大となっているようだ。2階では、化粧品、キッチン用品、掃除用品など日用品が幅広く取り扱われており、3階では寝具や家具、収納用品など少し大きめの日用品が販売。スペースも広めにとられており、ゆったりと商品を見ることができる。
最後に、B1フロアに降りてみると、衣服を中心に販売されていた。「MUJI 新宿」では白や黒をベースとした服が目立ったが、「無印良品 新宿」では一般的な無印の店舗で販売されている衣類と同じような品揃えだ。ちなみに、衣服の回収ボックスはこのフロアに設置してあった。
今回リニューアルされた「MUJI新宿」と「無印良品 新宿」は、同じ無印の店舗でもそれぞれまったく系統の異なった店舗スタイルになっており、明確に差別化されていたことが印象的。「MUJI 新宿」では環境問題について考えさせられつつお得な買い物を楽しむことができ、「無印良品 新宿」では生活に必要な日用品がすべて1カ所で揃う非常に便利な店舗へ変化していた。気になった方は足を運んでみてはいかがだろうか。
(文・取材=A4studio)