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自動車保険、値下げでも実質値上げのカラクリ…知らないと損するドラレコ特約

文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー
自動車保険
「Getty Images」より

 このところ火災保険の保険料が毎年のように値上げされているのに対して、自動車保険の保険料はまた値下げされます。損害保険各社は2022年1月に、自動車保険の保険料を値下げすることを公表しています。車種や加入者の条件によって異なりますが、平均して1~2%の値下げとなる模様です。2年連続の値下げとなります。

 これは、自動車の安全性能の向上や交通違反の厳罰化などによって、交通事故の減少が続いているからです。19年の交通事故発生件数は、15年前に比べて約6割も減少しています。その分、事故の際に支払われる保険金が減少しますので、保険料を値下げできるわけです。

 ご存じのように、自動車保険は契約者の年齢や車種によって細かく決まっています。これらの違いで事故の発生確率が異なるからです。保険の種類、契約者(主に運転する人)の年齢、運転できる人の範囲や年齢、車種によって、保険金を賄うための適正な保険料が異なります。ところが、保険会社はこれらの要因による事故の発生確率や適正な保険料を計算していません。業界で設立している「損害保険料率算出機構」という組織が、すべてを算出しています。各保険会社は、ここで算出された保険料率(「参考純率」と言います)に、経費や利益を上乗せして、自社の保険料としています。自動車保険の保険料は、保険会社によって異なりますが、それは“上乗せ”部分の違いによるためで、元となる部分は各社共通なのです。

 今年の9月に同機構は、19年までの各社の保険金支払いの実績を受けて、参考純率を平均で3.9%引き下げました。それを受けて、各保険会社は自社の保険料を引き下げます。それが22年1月に実施されるわけです。

 ところで、保険料の基となる参考純率が平均3.9%引き下げになるのであれば、各社の保険料も平均して3.9%の引き下げとなるのが自然です。ところが、大手の保険会社を中心に、実際に引き下げられるのは、1~2%程度です。ということは、各社が確保する経費や利益に相当する部分について言えば、実質的には“値上げ”していることになります。

 さらに、今年の9月に同機構が算出したのは、19年までの実績に基づいて計算されたものです。コロナ禍となった20年は前年と比べても大きく事故が減少しています。保険金の支払いは一層減少しているわけで、本当はさらに値下げする余地があると考えられます(コロナ禍という特別な事情もあり、同機構が来年、20年の実績に基づいた参考純率を算出するかはわかりません)。

 近年、自動車の保有台数は伸び悩んでおり、自動車保険の契約数も今後は大きな伸びが見込めません。自動車保険は損害保険会社にとっては主力商品で、利益を確保するためには安易に値下げに踏み切れないという事情もあるのでしょう。

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