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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

晴海フラッグは申込み111倍、ブリリア堂島は10億円…新築マンション活況冷めず

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
『HARUMI FLAG』
(写真提供:『HARUMI FLAG』事務局)

 2021年11月、東の横綱『HARUMI FLAG(晴海フラッグ)』は平均倍率8.7倍、最高倍率111倍で完売。かたや西の横綱『Brillia Tower 堂島』は平均4.6倍で、最高37倍で完売しました。21年最大の話題を集めたマンションといっていいでしょうが、今年も初春から販売が続き、相変わらず主役であり続けそうです。

首都圏、近畿圏ともに契約率を大きく押し上げ

 首都圏では、2021年11月、新築マンションの発売戸数が5452戸に激増しました。20年11月は2790戸でしたから、前年同月比95.4%の増加で、ほぼ2倍に増えたことになります。近畿圏はそれほどでもありませんが、それでも21年11月は2099戸で、前年同月比30.4%の増加でした。

 これほど発売戸数が増えたのに、月間契約率は大きく上昇しました。図表1にあるように、首都圏は21年10月の71.4%から、11月は79.9%と8.5ポイントのアップで、近畿圏は57.3%から65.6%に、8.3ポイントの上昇です。

 月間契約率というのは、その月に発売された新築マンションのうち、その月中に何%が売れたかを示す数字で、一般的には70%が好不調のボーダーラインといわれています。首都圏はそのボーダーラインを大きく上回っていますし、近畿圏はそれまでの50%台から、70%のボーダーラインの手前に近づきました。

 この好調を支えているのが、東の横綱ともいうべき『HARUMI FLAG』であり、西の横綱ともいわれる『Brillia Tower 堂島』なのです。

晴海フラッグは申込み111倍、ブリリア堂島は10億円…新築マンション活況冷めずの画像1

『HARUMI FLAG』には5万組近くがエントリー

『HARUMI FLAG』は分譲マンション4145戸、賃貸住宅1487戸の合計5632戸の超大規模物件。総開発面積は約13.3万平方メートルで、都心やその近くでは最大級の一大プロジェクトであり、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、東急不動産などの大手10社の共同開発で、三井不動産レジデンシャルが幹事会社となっています。

 周知のように、東京オリンピック・パラリンピックでは選手村として利用され、現在分譲マンションにリフォーム中です。この“オリンピックレガシー”も人気の一因かもしれません。

 所在地は東京都中央区晴海五丁目で、最寄り駅は都営地下鉄大江戸線の「勝どき」駅。マンションまでは徒歩20分前後とやや距離があるものの、完成時には新橋方面へのBRT(バス高速輸送システム)が開通することになっています。

 事務局によると、オフィシャルサイトを開設した2018年10月31日からこれまでに4万9000件を超えるエントリーがあり、19年4月27日にオープンした「晴海フラッグパビリオン」(モデルルーム)の見学者は1万2000組にのぼるそうです。

第1期・第2期は平均倍率約8.7倍、最高は111倍

 選手村としての利用が大前提であるため、東京都が周辺相場よりも比較的安い価格で土地を販売したこともあって、価格も周辺相場よりやや低めになっているといわれています。そのため、「都心近くでマンションを手に入れる最後のチャンス」と申し込んだ人も多いのではないでしょうか。

 不動産経済研究所によると、21年度上半期(4月~9月)の東京23区の新築マンション価格は平均で8686万円です。それに対して、『HARUMI FLAG』の2LDKは4990万円から、3LDKは5790万円からですから、割安感も大きかったのではないでしょうか。

 その『HARUMI FLAG』、このほど2021年11月21日までの第1期・第2期の販売結果が事務局から発表されました。販売されたのは、「SUN VILLAGE」第1期、「SEA VILLAGE」の第2期の合計631戸。それに対して、登録申込数は5546組で、全戸に申込みがあり、平均倍率は約8.7倍、最高倍率は111倍に達したそうです。

『HARUMI FLAG』の次回販売は22年3月

 事務局では、この人気の要因として次の3点を挙げています。

(1)新しい時代の働き方や家族との過ごし方など、お客の住まいに対する価値観や考え方の変化により、3方向を海に囲まれ、レインボーブリッジなどを見渡すことができる「眺望の良さ」

(2)都心6区の平均専有面積より20平方メートル以上広い「ゆとりあるプラン」

(3)銀座へ約2.5キロという東京都心と湾岸エリアの結節点となる「利便性の高い立地」

 分譲マンションだけで4000戸超という規模ですから、販売はまだまだ続きます。22年1月上旬からは、「SUN VILLAGE」第1期2次、「PARK VILLAGE」の第2期のパビリオン見学会がスタートします。完全予約制なので、関心のある方はオフィシャルサイトから申し込んでください。なお、販売開始は22年3月中旬を予定しています。

・『HARUMI FLAG』の全体イメージ

晴海フラッグは申込み111倍、ブリリア堂島は10億円…新築マンション活況冷めずの画像2

(写真提供:『HARUMI FLAG』事務局)

「フォーシーズンズホテル」のあるマンション!

 2021年後半の新築マンション分譲、東京の最大の目玉が『晴海フラッグ』とすれば、大阪では『Brillia Tower 堂島』でしょう。世界有数のラグジュアリーホテルである「Four Seasons Hotel」と一体となった話題のマンション。それだけでも、十分人気を集めそうですが、それと同時に、大阪の都心の利便性の高い好立地も大きな魅力です。まさに大阪のど真ん中を意味する、“大阪市北区堂島”アドレスで、利用できる路線と駅名を挙げるとざっと次のようになります。

・JR東海道本線などの「大阪」駅から徒歩9分

・JR東西線「北新地」駅から徒歩5分

・京阪電鉄京阪中之島線「渡辺橋」駅徒歩5分

・阪神電鉄阪神本線「梅田」駅徒歩9分

・大阪メトロ四つ橋線「西梅田」駅徒歩4分

・大阪メトロ御堂筋線「梅田」駅徒歩12分

 まさに、大阪の都心の一等地に位置します。

『Brillia Tower 堂島』は平均4.6倍、最高37倍

 建物は鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)の地上49階・地下1階建て、総戸数は463戸です。住宅フロアは4階から27階、38階から49階で、その間の28階から37階がホテルフロアになります。

 建物の構造や意匠にもこっています。設計は日建設計、施工は竹中工務店という強力なコンビ。24年1月下旬の竣工予定で、引渡しは5月下旬からを予定しています。21年4月にオフィシャルサイトが設置され、9月11日にモデルルームオープン後、11月末までに合わせて6300件の問い合わせがあり、モデルルーム来場者は2700組を超えました。

 第1期販売は21年11月から実施され、販売戸数185戸に対して、982件の登録申込みがあり、平均倍率は4.6倍、最高倍率37倍の人気を集めました。

大阪市北区の新たなランドマークになる

 東京建物によると、お客からの評価が高いポイントは次のような点だそうです。

(1)日本初「Four Seasons Hotel」と「Brillia」が一体となった超高層複合タワー開発

(2)西日本最大のターミナル駅であるJR「大阪」駅徒歩9分

(3)最上階のラウンジ・パーティルームやフィットネスルーム、バー、ワーキングブースなどの豊富な共用施設

(4)地上49階・全463戸、大阪市北区最高峰の高さ約195mの大規模・ランドマーク性

(5)約30平方メートル~約230平方メートル、全93タイプの多彩なプランと、天井高約2.7m~約4.0mのゆとりの空間

 大阪市北区堂島、まさに大阪市中心部の、新たなランドマークになるわけで、人気が高いのも当然でしょう。

購入者の半数近くを50歳代以上が占める

 これだけの条件を備えた希少性の高いマンションですから、価格はお安くはありません。価格面では、東の横綱の『HARUMI FLAG』を凌駕しています。コンパクトタイプの住まいは5280万円からありますが、最高は10億8000万円で、平均1億5390万円です。この高額物件をどんな人が買っているのかをみると、東京建物が公表している購入者像は次の通りです。

 年齢:50歳代が25.7%、60歳代が23.4%、30歳代が20.0%

 世帯人数:2人が36.9%、1人が31.7%、4人が15.3%

 職業:会社役員が37.8%、会社経営が15.4%、会社員が14.9%、医師が10.7%

 居住地:大阪府が63.5%、大阪市北区が17.7%、大阪市中央区が8.7%

新春から東西の両横綱が販売の共演

 大阪では類を見ないような高額物件だけに、購入する人の年齢層は高く、50歳代、60歳で全体の半数近くを占めています。しかも、家族数は2人以下が7割近くに達しています。比較的年配のお金持ちが、終の住み処として利便性が高く、世界的なラグジュアリーホテルが併設されたマンションを購入しているのでしょうか。

 なお、『Brillia Tower 堂島』の第2期の販売は22年1月中旬を予定。販売価格は未定ですが、専有面積は37.01平方メートルから126.92平方メートルで、間取りはstudio~3LDKを予定しています。

 今年も新春から東西の横綱格の新築マンションの販売が始まります。22年のマンション市場、価格が高くなりすぎているため、そろそろ売行きが鈍化するのではないかという観測もありますが、この両横綱の共演が市場を牽引することになるのでしょうか。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

・『Brillia Tower 堂島』の外観イメージ 

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晴海フラッグは申込み111倍、ブリリア堂島は10億円…新築マンション活況冷めずの画像4

(写真提供:東京建物)

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


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