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三浦瑠麗氏「医者がコロナ怖がり過ぎ」「私、医者じゃないんで」 医療関係者から反論が続出

文=編集部
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三浦瑠麗氏が代表を務める山猫総合研究所の公式サイト

 29日午前1時25分から放送された『朝まで生テレビ!』(略称:朝生、テレビ朝日系)で激論が起こった。注目を集めているのは『21世紀の戦争と平和 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(新潮社)などの著書で知られる政治学者の三浦瑠麗氏(山猫総合研究所代表)と、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長のやり取りだ。

「医者がコロナ怖がり過ぎ」「私、医者じゃないんで」

 当日の朝生では「激論!ド~する?!オミクロン株急拡大と日本社会」がテーマとなっていた。急激に拡大している新型コロナウイルス感染症オミクロン株に関し、三浦氏は日本の医療関係者について以下のような持論を語った。以下、微妙なニュアンスを伝えるため、発言ママで書き起こした。

「私から見た時の日本の医者の状況、“自分ごと”だと思っていないんじゃないかな。

 普通の医者がですね、コロナを怖がり過ぎている。

 専門家として我々が医者を見るんじゃなくて、いわゆる私たちと同じようにワイドショーを見て、オミクロン株がドダーンと拡大されて、なんかおどろおどろしい音楽がながれて、ダーンダーンと、そういう感じの感覚で。一般人だと思えば、そりゃそうだろうなと。怖がっているんだろうなと」

 これに対し、上氏が「いや三浦さん、ちょっとそれはひどいですね」と突っ込むと、三浦氏は微笑みながら「そうですか」と応対。上氏は続けて次のように発言した。

「私は医師会の擁護はしないですけど、私もコロナ患者診ています。怖いですよ。外来で1日何十人て、検査したら怖いんです。事実、お医者さん世界中でたくさん亡くなっているんです。その最前線に立つお医者さんというのは専門医の方もいらっしゃいますけど、一般のクリニックが立っているんですよ。そんなの怖くない医者なんていないんですよ。それだったら三浦さん立ってもらったらいいんですよ」

 上氏の発言に対し、三浦氏は笑顔で「私、医者じゃないんで」と受け流した。

「『現場で手伝え』は有事の際の責任転嫁の匕首伝説」

 一連のやり取りに対し、Twitter上では三浦氏の発言に疑問の声が上がっている。

「三浦瑠麗さん、ちょっと言葉が過ぎますよ。あなたは国際政治学者!医師を専門家でないと言うなら、あなたも専門家ではないただの一般人目線の発言」

「怖くないなら三浦瑠麗は治療の手伝いしたらいい 上先生の言う通りだし、三浦瑠麗は医者をバカにし過ぎ」

「ワイドショー見て怖がってる一般人の感覚と一緒みたいな事言ってたな…。あとからわかる情報も多い感染症で実際間近に診てるんだらこわいに決まってるじゃん。お医者さんこそ正しく怖がってほしいよ。家族に医療従事者がいるから腹立っちゃった」

 また、三浦氏が自著などで「血のコスト(戦争を自分ごととする)」によって「無意味な戦争を抑止する」などと徴兵制を提案していることを踏まえ、「徴兵制の提案も所詮自分が年齢で徴兵されないから言うのだろうな」などと指摘する声も散見された。

 こうした指摘に対し、三浦氏は30日、自身のTwitter上アカウント上で「現場至上主義に雪崩を打つ現象は社会にとって危険そのものです」などと投稿したのだが、Twitterユーザーから「意味不明」などと指摘され、波紋は広がり続けている。

「軍がいやがる『攻撃的な戦争』を強いられるというシビリアンの戦争の含意は、パンデミックには応用できません。感染症患者への治療提供は、免許を持つプロフェッショナルとしての医療従事者の本体任務だからです。仮に少しでも含意があるとすれば、医療従事者への差別をしてはいけないということ」(原文ママ、以下同)

「軍が常に正しいわけではありません。歴史上、軍は始まってしまった戦争を拡大したり、勝算がないままに戦争計画を進めたり、文民政治家を恫喝したり、クーデターを起こすこともあります。匕首伝説というものがありますが、これはドイツ帝国軍が戦争に負けたのを、国民のせいにした歴史を指します」

徴兵制は、最低限の国防を自分たちで担うことで、時に攻撃戦争を避ける誘因を社会に埋め込む効果があります。徴兵はプロフェッショナリズムを否定するものではなく、そもそもプロの軍が国防を拒否するなどということは考えられません。『不要な戦争』をどう拒否するかと言う問題と混同してはなりません」

「エッセンシャルワーカーは清掃からマクドナルドから、トラック運転手、コンビニからスーパーの店員、報道にかかわる人員、自治体や政府の職員など様々です。『現場で手伝え』を言い出すのは有事の際の責任転嫁の匕首伝説に最も近い考え方で、プロはそのような発言をしないよう自らを戒めるべきです」

「それこそが全体主義であり、健全な民主主義を阻害する権力簒奪に用いられる論理だからです。そんなことを言うのならば、医療従事者のうちの誰が、事故後の福島の原発で作業員に働きに行ったのでしょうか。現場至上主義に雪崩を打つ現象は社会にとって危険そのものです。おわり」

原発事故時にも医師は現地で奮戦

 朝生での議論やその後の三浦氏の投稿を医療関係者はどう見たのか。東京都内の救急医療センターの勤務医は語る。

「三浦さんはTwitterで『医療従事者のうちの誰が、事故後の福島の原発で作業員に働きに行ったのでしょうか』と投稿されていました。『医師になって働け』とか、『廃炉作業員になって働け』ということではなく、ご自身が常々おっしゃっているように専門性の観点からコロナ診療の現場に一度、立たれてはどうかと思いました。

 Twitterの投稿では東京電力福島第1原発事故にも触れていらっしゃいますが、原発事故直後、日本救急医学会は2011年4月に原子力災害現地対策本部(オフサイトセンター)やJビレッジ(福島県楢葉町、東電、国の原発事故前線対応拠点)へ医師を派遣しました。また長崎大医学部は原発立地の双葉、大熊両町に隣接する川内村の復興拠点で、被災者の放射線の健康リスク影響低減のために尽力しました。

 学会や大学のみならず、多くの開業医がボランティアとして福島に赴き、被災者や原発作業員を診察し、そこで得た知見を地域や国の医療体制に生かそうと様々な提言をしています。被ばく医療などの専門家でなくても、それぞれの専門診療科の医師が未曽有の災害現場に行き、その知見をフィードバックすることは次の災害の備えのために有用だったと思います。だからこそ、政策論を策定される方、語られる方には『現場に立ってほしい』とは思います」

東京都医師会「正しく知って正しく恐れて」

 東日本大震災時に宮城県沿岸に赴き、医療支援活動に従事した兵庫県の内科医師は次のように語る。

「政策論としてどのような意見があってもかまわないとは思いますし、『すべて現場の思うように国の方針を決めるべきだ』という極端な現場主義もどうかとは思います。ただ、必ずしも現場に立つ必要はありませんが、政策決定に携わる方、多くの視聴者の前で持論を展開される方には、現場で働いている人間や状況に対する想像力をもっていただきたいと思うだけです。

 上昌広先生のご意見に付け加えるのなら、医師は自身が感染して命を落とすのと同じくらい、患者さんが苦しんだり、命を落としたりすることを恐れます。よく『医者は感情が麻痺している』などと言われますが、人によって強弱はあっても、基本的に多くの医師が『命を助けたい』『患者さんの病気を治したい』と思って、その仕事についているのです。未知の病気と相対することは、その両方の意味で怖いものなのです。それだけはわかっていただきたいな、と思いました。

 東京都医師会さんや尼崎市が世界的なパンデミックが発生して以来、コロナ関連情報提供の方針に掲げている『正しく知って正しく恐れる』という物の捉え方を、どうかメディアに出演している方にはもっていただきたいと思いました」

 同医師によると、この『正しく知って正しく恐れる』は東京都医師会が公表した、コロナの特性などに関し一般向けに説明した同じ文言のタイトルの広報資料がソースのひとつとなっているのだという。

 東京都医師会広報学術課の担当者はコロナ関連の情報提供の方針に関し、「恐怖を煽るのでもなく、侮るのでもなく、医師会として、正しく知って正しく恐れるということを呼び掛け続けるという方針は今も変わりありません」と話した。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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