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野村直之「AIなんか怖くない!」

ウクライナ侵攻:AIが戦争の道具化、かつてないサイバー戦争…AI人格が偽投稿も

文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員
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YouTubeチャンネル「Anonymous TV」にアップされた動画「Anonymous – Message to the Russian people」

 ロシアのウクライナ侵攻が始まって12日ちょっとの時点で執筆しています。まずはじめに、国連発表の死者数の公式数値の数倍、数千人に達すると思われる民間人犠牲者に心から哀悼の意を表します。ならびに、いくら覚悟をし、命令で赴いたとはいえ、死亡した両側の兵士にも哀悼の意を表します。公開時点、お読みいただく時点で、傀儡政権、亡命政権ができてしまっているか、停戦が成立しているか、はたまたロシアのプーチン大統領が失脚または(この世から)姿を消しているか、予断を許しません。

 2020年1月の連載で、AI兵器、特に無人ドローンについて書きました。同年に米国がイランの革命防衛隊司令官ソレイマニを殺害した際に使ったものよりは小型のようですが、トルコ製の無人戦闘ドローンをウクライナが入手し、実戦投入を準備していたのは紛れもない事実です。対戦車砲のジャベリンは、肩に担いで戦車のいる方向へ向けて発射すれば、目標を正確にとらえ、装甲の分厚い側面ではなく、一旦上空に舞い上がり戦車上部の弱いところに落下して爆発するとのこと。ほぼAI兵器といえるほど自動化されているといって良いのではないでしょうか。このような代物が400万円と、戦闘機や戦車に比べてはるかに安価で、多数導入され、ウクライナ軍や民間志願兵に大量に供給されています。

情報戦、心理戦、サイバー攻撃

 双方のサイバー攻撃もし烈さを増しています。聞くところによると、侵攻前の2月、ロシアのハッカーがウクライナの原発にハッキングして、オペレーションに障害を与えようとしていたとのこと。おそらくは旧ソ連時代のコンピュータが古すぎて、また、肝心な部分がネットワークにつながっていなかったりして失敗し、ミサイル攻撃に切り替えたのではないでしょうか。なんとしてもウクライナの民衆の生活インフラ(病院や公共サービス)を破壊、コントロールしたかったからと考えられます。

 対するウクライナ側を、国際匿名ハッカー集団、その名もアノニマス(Anonymous=姓名不詳)が全面支援しています。ロシア軍のデータベースに侵入し、ロシア軍人・兵士10万人分の個人情報を暴いたり、ロシア国営放送をハッキングして西側諸国発のウクライナでの戦闘シーンを流したりするなど、瞠目すべき成果を上げています。かつて、ここまでのサイバー戦争、情報戦があったでしょうか。

 いわゆるプロパガンダ合戦も過熱、進化しています。ドネツク人民共和国に侵入を試みたウクライナ兵との銃撃戦とされる親ロ派が流した映像は、日本経済新聞調べで日付が10日前のものとわかり、ファクトチェック団体ベリングキャットは10年にユーチューブに投稿されていた動画の「爆発音」と酷似した爆発音であることを突き止めました。

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11:30更新
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