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早稲田大の入試、国語の問題文の著者が解答の誤りを指摘…早大、解答の訂正を拒否

文=Business Journal編集部
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早稲田大学のHPより

 2月に行われた早稲田大学教育学部の2022年度一般入試の国語科目で、早大が公表した解答に、問題で一部文章が使用された書籍の著者が異議を申し立てたものの、早大が解答の訂正を拒否し、その理由についての回答も拒否するという事態が起きている。

 早大は同学部入試の国語科目の(一)で、明治大学政治経済学部教授の重田園江氏の著書『フーコーの風向き-近代国家の系譜学』(青土社)の一部を引用。その解答をサイト上に公開したが、問一、問三、問四の解答について、重田氏は自身が解答だと考えるものとは異なると指摘。さらに、問二については「厳密には正解なし」としている。重田氏が今月14日に掲載された「SYNODOS」記事『入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任』で明らかにした。

 この問題をめぐっては、入試直後に各大手予備校が発表した解答速報でも解答が割れている。たとえば問三の早大の解答は「ニ」だが、河合塾と代々木ゼミナールは「ニ」、駿台予備校は「ハ」、重田氏は「ハ」を解答としている。また、問四の早大の解答は「ホ」で、河合塾と代ゼミも同じだが、駿台と重田氏は「ニ」としている。さらに、問一の早大の解答は「イ」だが、3予備校はそろって「ホ」、重田氏は「ハ」を解答としている。

 このほかにも重田氏は問二について「厳密には正解なし」(「SYNODOS」より)と評しており、8個の小問からなる(一)のうち実に半数の4問の解答に疑義が生じているのだ。

「SYNODOS」記事によれば、これを受け重田氏は早大の入学センターに問い合わせを行ったところ、早大から

「訂正の必要はないとの結論に至りました」

「入試問題への問合せについては,個別にお答えはしていませんので 回答は差し控えさせていただきます」

との返答が寄せられたという。

早大、混乱を懸念か

 大学入試における出題ミスといえば、2017年の京都大学と大阪大学の物理の問題でミスがあるとして、ある予備校講師が大学側に連絡。両大学はミスを認め、追加合格者の入学を認めるのに加え、慰謝料など金銭的な補償も行うという対応を取ったことが記憶に新しい。 

 では、なぜ早大は同様の処置を取らないのだろうか。

「大学側が重田氏から指摘を受けたのが、時系列的に合格発表の後だったため、追加で合格者を出すといった“合否判定のやり直し”という混乱を避けたかったのではないか。だが、京大と大阪大はミスの指摘を受けたのが入試から1年もたった時点だったが、しっかりと対応をした。

 また、早大では現代文の科目は他の学部でも出されており、学部ごとに出題内容が違うため、他の学部や過去年の入試分でも問題文に引用された著者たちから“私の文章の問題でも解答が間違っている”などと指摘が相次ぎ、同様の動きが波及してしまう事態も想定され、収拾がつかなく恐れがあると大学側が考えたのかもしれない」(他の大学関係者)

 大学入試の国語科目の問題は、「現代文」「古文」「漢文」から成るケースが多いが、特に現代文をめぐっては“解答の正しさ”や“入試科目としての妥当性”を疑問視する声も以前から少なくない。

「大手予備校の各講師によるオリジナル講座では、別々の講座間でテキストの問題が被ることもあるが、特に現代文や古文では同じ問題なのに講師によって解答が異なるというケースは稀に生じる。数学や物理・化学などの理科では、講師によって解答プロセスが異なることはあれど、答えが違うと事態はさすがに起きない。世界史や日本史などの社会も、基本的には知識を問うものなので同様だろう。

 現代文の入試問題をめぐっては過去に何度も、出題に使用された文章の著者が“自分が正解だと考えるものと学校側の解答が違う”と言うことがあったし、著者が口に出さないまでもそう感じるケースは多々あるはず。ある有名小説家が“選択肢のなかに解答がない”と言ってちょっとした話題になったこともあったが、志望者たちの学力を適正かつ公平に評価しなければならない大学入試において、これほどまでに“正解の基準が曖昧”な現代文という科目が含まれていてよいのかというのは、もう少し議論されてもよい」(予備校関係者)

古文・漢文、不要論も

 また、別の予備校関係者はいう。

「大学入試の社会科目で選択者が多い世界史や日本史、地理の問題は“現代文”で書かれているし、その意味では理科も同じ。特に難関校の問題文では数ページにわたる長文のものも珍しくなく、記述問題に限らず国語力が問われる。英語にしても国語力がなければ和訳問題なんか解けないわけで、文章を正しく読み解いたり書いたりする能力は、他の科目でも測ることができる。早稲田大学ですら“明快な解答”を用意できない現代文という科目をあえて入試問題に入れる意味があるのかという意見が出ても仕方ない。

 同じ国語でいえば古文や漢文も不要論が根強いが、国語という科目の在り方自体が問われている。どの科目を入試問題として志望者に課し、どんな内容の問題を出すのかは各大学の勝手だが、もし大学入試科目から国語が減っていけば、全国の学校の国語科教師や予備校講師の“職の問題”も出てくるので、それはそれで悩ましく大きな問題だが」

 今回の早大の入試問題をめぐる“問題”は根が深いようだ。

BusinessJournal編集部

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