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オーケー、驚異のエブリデイ・ロープライス経営の秘密…大手メーカーとの軋轢も厭わず

文=Business Journal編集部
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オーケーの店舗(「Wikipedia」より)

 花王の長谷部佳宏社長は2月3日、オンラインで行った決算会見で、原材料価格の高騰を理由に、3月をめどに衣料用洗剤や柔軟剤、紙おむつを値上げする方針を表明した。天然油脂など原材料コストが160億円上昇し、2021年12月期の連結営業利益が前の期に比べて18%減の1435億円となった。原材料の高騰を吸収するため値上げをするほか、販売促進費を削減し、22年12月期の連結営業利益は21年3月期比12%増の1600億円を見込む。

 長谷部社長は「日用品のリーダーシップを取る会社がここに踏み込まなかったら、今後一切、前に進まない。必ずやっていく」と値上げへの強い決意を示した。店頭価格への転嫁は小売り側との交渉次第だが、値上げを浸透させるのは難問だ。

 首都圏が地盤の食品スーパー大手、オーケー(横浜市、非上場)は2月16日、花王製の商品、500品目のうち3割に当たる145品目の取り扱いを1月31日から中止していると発表した。残りの7割については引き続き販売している。

 取り扱い中止の理由についてオーケーは「花王との条件交渉も含めた商品の見直しの一環」としている。個別の商談のなかで決まったことだという。「仕入価格の交渉で折り合わなかった可能性がある」(小売り担当のアナリスト)。

 オーケーは販売を中止した商品名を明らかにしていない。衣料用洗剤の「アタック」、紙おむつの「メリーズ」、浴室用洗剤「バスマジックリン」など、花王製品は消費者にとってなじみ深いものばかりだ。

オーケーの社長は三菱商事から招いた二宮涼太郎氏

 オーケーは昨年、関西スーパーマーケットの買収を目指し、エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)グループと争奪戦を繰り広げた末に敗れた。関西スーパーとの提携は断念したが、非上場会社のオーケーの知名度は飛躍的に上がった。

 オーケーは1967年の設立。オーナー一族は華麗な経歴で知られる飯田家だ。飯田家の3人の兄弟は起業家として名を高めた。オーケーの創業者で会長の飯田勧氏の兄、飯田保氏(故人)は居酒屋チェーン天狗のテンアライドの創業者。弟の飯田亮氏は大手警備サービス、セコムを立ち上げた。オーケーは1980年代に米ウォルマート流の「Everyday Low Price(エブリデイ・ロープライス)」を導入。他の食品スーパーと一線を画し、徹底的な低価格路線で売り上げを伸ばしてきた。東京や神奈川、埼玉など国道16号の内側で大量出店してきた。

 2021年3月期は売上高に当たる営業収益が前期比17%増の5089億円。35期連続増収を達成した。家具量販店のニトリホールディングスと並ぶ増収の連続記録だ。首都圏のスーパーのなかでは、売上規模でマルエツを上回り、ヤオコーと肩を並べる。経営力を測るROE(自己資本利益率)をみてみると、オーケーの21年3月期のROEは17.96%。スーパー業界で屈指の収益力を誇る。

 オーナーの飯田会長から経営を委託されているのは二宮涼太郎社長。15年6月、大株主の三菱商事から二宮氏を迎え入れた。執行役30%成長戦略室長兼店舗開発本部長となった二宮氏は三菱商事を退社。16年6月、オーケー社長に就任した。「年率30%成長」の目標達成に向け、関西スーパーマーケットの買収を仕掛け敗れたが、関西進出の強い意欲を隠さない。

「毎日安売り」を確実なものにするために、常に取り扱う商品の見直しを怠らない。品質や売り値を念入りに調査し、取り扱う品目を絞り込むことで、大量販売を実現する。このバイニングパワーで売り値の引き下げを可能にしてきた。最大手のメーカーの商品を扱わず、2番手以下の商品を低価格で販売するビジネスモデルで成功してきた。結果として競合店が打ち出す特売価格に負けない売り値を毎日実現。高い成長率を誇ってきた。

 原材料価格が高騰し、食品や日用品は空前の値上げラッシュだ。これまでは仕入れ価格を引き上げても、すぐにはスーパーの店頭価格に反映されないことが多かった。値上げの浸透までに時間がかかったのは売る側の力が強かったからだ。

 だが、今回は様相が違う。ウクライナ情勢の緊迫化による原油価格の高騰は、燃料や物流コストの上昇を招き、食品や日用品のさらなる値上げは避けられない。メーカーは躊躇せずに値上げする雰囲気だ。

 オーケーはこれまでのように、取り扱う商品を絞り込むことで、低価格を維持することができるのか。それとも店頭価格の引き上げに踏み切るのか。EDLP経営の正念場だ。

(文=Business Journal編集部)

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