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神戸山口組にまたしても亀裂か…大物組長が離脱、その原因が…

文=山口組問題特別取材班
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絆會・織田絆誠会長

 2015年の神戸山口組結成当初、それまで六代目山口組で執行部を経験した組長は5人存在した。五代目山健組の組長を務めていた神戸山口組・井上邦雄組長、二代目宅見組・入江禎組長、俠友会・寺岡修会長、池田組・池田孝志組長、正木組・正木年男組長の5人だ。

 だからこそ、この5人の組長らに対しては、執行部経験者という責任ある立場にあったにもかかわらず、その役目を放棄したとして、六代目山口組より、すぐさま絶縁処分が下されたのだ。それは裏を返せば、5人の組長らが結束し、六代目山口組を割って出るという前代未聞の行為があったからこそ、神戸山口組という一大勢力が生まれたといえるのではないだろうか。

 だが、歳月の経過が神戸山口組に重くのしかかることになった。

 2020年7月、池田組長率いる池田組が神戸山口組を離脱、翌8月には正木組長が渡世から引退し、正木組を解散させた。さらに今年8月、今度は神戸山口組結成以来、若頭を務めていた寺岡組長が離脱。それに対して、神戸山口組は寺岡組長に絶縁処分を下すことになったのだ。

 そして、そこから急速に進められたと見られるのが、神戸山口組と池田組との間で結ばれた、親睦を深めるための連帯であった【参考記事「神戸山口組、池田会、絆會による同盟成立」】。

 その影響は、必然的に池田組と運命を共にする関係にある絆會にも及んだ。神戸山口組と絆會の間に直接的な関係はないものの、池田組を通して、その関係性は3社の連合体になったと見られていたのだ。

 その背景で暗躍したといわれたのが、二代目宅見組の入江組長で、神戸山口組と袂分けた池田組との関係を修復させるために奔走したと一時は囁かれていた。

 「入江組長は、寺岡会長が抜ける際も、同会長に『あんたらが誘ったから神戸に来た。こっちが残っているのに抜けるのはおかしいだろう』との主旨を伝えたのではないかと言われていました。それは池田組長に対しても同様で、それが今回の神戸山口組と池田組の連帯に繋がったのではないかと見られていたんです」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 そして、結ばれた神戸山口組と池田組、そして絆會の関係性だったが、その連帯に早くも亀裂が入ることになったのだ。3社の連帯をはかるために奔走したはずの入江組長が、神戸山口組を離脱したというのである。

 ことの発端は今月12日のことだった。今から5年前、神戸市内で絆會(当時は任俠山口組)・織田絆誠会長が襲撃されるという事件が起こり、織田会長のボディーガード役を務めた楠本勇浩組員が、山健組系組員による銃撃で命を落としたことにあった。それから、5回目の命日を迎えた事件現場には、絆會最高幹部だけでなく、池田組最高幹部、そして、神戸山口組からも最高幹部が訪れ、故人の冥福を祈ったのだった。

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事件後、現場に捧げられた花束

 しかし、それは井上邦雄組長の意志と異なったのではないかと見られているのだ。

 「井上組長は、かつて記者会見まで開き、名指しで自分のことを批判した絆會の織田会長のことを内心ではまだ許してないのではないか。ましてや、その記者会見が原因で楠本組員の射殺事件が起きることになった。いくら池田組と親戚になったとはいえ、神戸山口組の最高幹部らが事件現場に訪れ、冥福を祈ったことを承服できなかったと思われる。絆會としても、神戸山口組との関係性で一番のネックとなっているのはその事件だ。しかし、いまさらそれを言い出せば、もつれた関係性を修復させるために尽力した入江組長の立つ瀬もない。結果、そんな神戸山口組トップのスタンスに痺れを切らした入江組長が、神戸から離脱することになったのではないか」(業界関係者)

 確かにそれが事実なら、神戸山口組存続のために陰日向に奔走した入江組長の面子が潰れたとしてもおかしくないだろう。

 時を経て絡み合った糸が解かれ始めた矢先の出来事だけに、神戸山口組副組長まで務めた入江組長の離脱は、神戸山口組の今後に大きな暗雲をもたらすことになるかもしれない。

(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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