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業務スーパーに勤務→通う店のレトルトカレー大量買い判明…飲食店の既製品使用の実態

文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表
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業務スーパー

 ある人物が「業務スーパー」で働き始めたところ、普段訪れていた喫茶店の店主が定期的に業務スーパーでレトルトカレーを大量に購入している光景を目にし、自家製だと思っていたカレーがレトルト商品だったと知り驚いたというネット上の投稿が、一部で話題を呼んでいる。

 2000年に兵庫県三木市で1号店がオープンした業務スーパーは、昨年には国内1000店舗を達成。積極的にメーカーを買収して生産能力を拡大させ、自社で企画・製造するオリジナル商品を増やし、海外メーカーから直輸入する商品とともに圧倒的な低価格で販売することで急成長を遂げてきた。多くの店舗をフランチャイズ形式で運営し、業務スーパーは商品とノウハウの提供に注力することで低コスト経営を実現。運営元の神戸物産の業績も好調で、2022年10月期連結決算の売上高は前期比12.4%増の4068億円、営業利益は同1.9%増の278億円、経常利益は同10.4%増の321億円と、コロナ禍の巣ごもり需要増大という恩恵も受け、その成長に衰えは見えない。

 業務スーパーで特徴的なのが、安価かつ大容量な商品の数々。その店名ゆえに「業者向けのスーパーで一般客も購入できる」というイメージが強いが、現在ではお客のうち業者と一般客が占める割合は1:9と一般客のほうが圧倒的に多いとされる。

 そんな業務スーパーをめぐる冒頭の投稿が話題を呼んでいるわけだが、ネット上には次のようにさまざまな反応が寄せられている。

<加工はしてると思うよ>

<レトルトカレーに何か追加で足してる>

<業務スーパーなんやから業務に使って何が悪い>

<業スーなんだから業務に使わない方がどうかしてる>

<業スー普及前だと、コーヒー豆の卸業者が扱う、C&Cの缶の奴が主流>

<店のカレーって大なり小なり既製品だよ>

<カレーなんてガチで作ってたら喫茶まで手が回らないから>

<大半の飲食店の材料はそこらへんの商社の業務用食品>

 外食業界関係者はいう。

「チェーンのカレー専門店や牛丼店でも、別の場所に設置されたセントラルキッチンで一括してつくったものをパウチ袋などに入れて各店舗に配送し、店舗では温めて皿に盛り付けるなど最低限の仕上げしかしていないケースは一般的。その意味では専門店チェーンでもレトルトものを使っているともいえ、街の喫茶店で出来合いのレトルト商品を使うのは普通のことだし、いちいちゼロからカレーをつくっていたら店が回らず経営も成り立たない」

 業者の購入も想定している業務スーパーで飲食店がメニューで使用する食材を購入するのは当然といえば当然だが、飲食店ではレトルト類や冷凍食品など、ほぼ出来上がっている商品を仕入れて、それを加熱などして客に提供しているようなケースは多いのだろうか。自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏に解説してもらう。

外部からの仕入れにもさまざまな形態

 ある業者が繁盛店のカレー屋の店主にPB(プライベートブランド)のレトルトをつくって販売しないかという話を持ちかけたところ、頑なに断られ、その隠された理由が、そのお店は既存のレトルトを使っていたからという話を聞いたことがあります。また、「契約農家から仕入れた有機野菜使用」と謳っているフレンチレストランの職人さんが、近所のスーパーで多量の野菜を購入している姿を見たこともあります。

 飲食店において、近所の業務用スーパーのレトルトや冷凍食品を仕入れて、加熱してそのまま提供しているケースは「それなりに」あります。スーパーのような店舗型でなくても、飲食店用のレトルトや冷凍食品を配達販売している専門業者はいっぱいあり、そこから仕入れた加工品を現場で加熱して提供しているお店も結構あります。ドリンク中心のお店、客単価低めのお店、職人さんのいないお店などで、仕込みをせず、既成の加工品やセントラルキッチンで調理されたものを加熱するだけで提供しているケースもあります。「委託」というかたちで他社、他店につくってもらっているケースもあります。

 また、メニューのなかに加工品と手づくり品を織り交ぜたり、加工品にちょっとだけ手を加えて1品として提供したりもします。ソース関係ですと、ハインツというメーカーのデミグラスソースやホワイトソースなどをベースにしているお店も多いですね。大手居酒屋のお通しにも、業者から仕入れる加工定番品が多く存在します。

 さすがにちゃんとした職人さんや意識の高い調理師がいるお店では、加工品を使うことに抵抗を示したりしますが、それでもメニューの一部に「お取り寄せ」や、どこか別の店でつくられたものを使用しているケースも見られます。チーズなんかをお店でつくっているところは、専門店以外ではまずないでしょう。仕入れたものをカットして提供しています。

 一方、バーやカフェなどは別として、カレーやラーメンのような専門店で、近所の業務用スーパーで買ったものを使用して長く続いているお店というのはないでしょう。お店の人がスーパーで大量に既製品のカレーやラーメンを買っていれば、すぐにバレてしまいます。専門店を名乗るなら、やはり業務用スーパーで仕入れたレトルトを使用していれば、それはお客にとってプラスの印象になりません。専門店として1軒を成り立たせようとしたら、1日100食以上の仕入れになるでしょうから、材料費比率としても加工品を使用することは効率的とはいえません。アルバイト含めて情報漏洩のリスクもあるでしょう。

 しかし、近所の業務用スーパーからの仕入れは難しくても、希望する味でスープやカレーを加工してくれる業者や、スープを冷凍パッケージして他店に卸しているラーメン屋も存在します。見方によっては既製品の仕入れかもしれませんが、外部のセントラルキッチンでつくった「自社商品」の使用ということもできます。飲食店は自店の味を意識しながらも、現場のオペレーションを重視しながら成り立っており、取捨選択しながら仕入れ・仕込みを行ったり、メニュー構成を決めています。

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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