日銀は、今年の春闘での賃上げ状況を見極めた上、今春にマイナス金利政策の解除を検討する見通しだ。日銀は賃金と物価がともに上昇する「好循環」の実現に自信を深めつつあり、早ければ3月18、19日に開く次回の金融政策決定会合で、政策修正に踏み切る可能性もある。
「マイナス金利解除を含めた政策修正の要件は満たされつつある」。1月31日に公表した同月22、23日の決定会合での「主な意見」によると、ある政策委員は今春闘で賃上げが加速する可能性が高まったとして、早期の政策修正を示唆した。また、委員の一人が「賃金と物価の好循環実現の確度はさらに着実に高まった」と指摘するなど、2%の物価目標実現が視野に入ってきたとの意見が相次いだ。
政策修正時期を巡っても、ある委員が「判断が遅れた場合、急激な金融引き締めが必要となるリスクがある」と言及。欧米が今後、利下げ局面に入れば、マイナス金利解除をうかがう日銀の金融政策の自由度が低下するとして、「現在は千載一遇の状況だ」との主張もあった。
「主な意見」を受け、31日の東京債券市場ではマイナス金利の早期解除観測が広がり、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りは一時、前日に比べ0.045%高い0.750%に上昇(債券価格は下落)した。
今春闘で、大企業の集中回答日は日銀の次回会合前の3月13日。日銀はこれを踏まえて政策修正を検討するとみられるが、賃金と物価の「好循環」実現に確信が持てなければ、中小企業の賃上げの状況がより明確になる4月以降の決定会合に判断を先送りする可能性もある。
◇日銀の金融政策を巡る今後の主な動き
2月15日 昨年10~12月期国内総生産(GDP)速報値発表
3月13日 春闘の集中回答日
18~19日 日銀金融政策決定会合
4月 1日 日銀全国企業短期経済観測調査(短観)3月調査
上~中旬 日銀支店長会議
25~26日 日銀金融政策決定会合
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/01/31-16:26)