財務省が8日発表した2023年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支の黒字額は前年比92.5%増の20兆6295億円と、ほぼ倍増となった。輸出額が過去最大を更新し、貿易収支の赤字幅が縮小。旅行収支や第1次所得収支の黒字幅も最大だった。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6兆6290億円の赤字(前年は15兆7436億円の赤字)。輸出額は自動車の伸びがけん引し、1.5%増の100兆2743億円、輸入額は資源高の一服で6.6%減の106兆9032億円となった。
コロナ禍の収束に伴い訪日外国人旅行者数が前年比6倍超に増え、旅行収支は3兆4037億円の黒字になった。ただ、海外のインターネット広告などへの支払いが増え、輸送や旅行などを含むサービス収支全体では3兆2026億円の赤字だった。
配当や利子収入などを示す第1次所得収支は、0.3%増の34兆5573億円。海外に進出している自動車や製薬などの企業が安定的に配当を受けているほか円安基調が続いたことで、直接投資収益が好調を維持した。
同時に発表した23年12月の経常収支は7443億円の黒字(前年同月は95億円の黒字)。貿易収支が大幅な赤字から黒字に転じたことが大きく影響した。
◇2023年の国際収支
23年 前年
経常収支 206,295 107,144
貿易・サービス収支 ▲98,316 ▲212,723
貿易収支 ▲66,290 ▲157,436
輸 出 1,002,743 987,688
輸 入 1,069,032 1,145,124
サービス収支 ▲32,026 ▲55,288
第1次所得収支 345,573 344,621
第2次所得収支 ▲40,962 ▲24,753
(注)単位億円。▲は赤字(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/02/08-11:32)