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PayPayキャンペーン「えげつない」物議…他社カード削除でポイント付与

文=Business Journal編集部
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PayPay公式サイトより

 PayPayが「えげつないキャンペーン」をやっている、と話題になっている。その内容は、PayPayの支払い方法から「PayPayカード」「PayPayカードゴールド」以外のクレジットカードをすべて削除すると、特典として1000ポイントをもらえるというもの。他社のクレジットカードを排除するキャンペーンに、PayPay利用者の間からも異論が続出している。PayPayにその意図を聞いた。

 PayPayはソフトバンクとLINEヤフーの合弁会社で連結子会社。2018年ヤフーが、バーコードやQRコードによる決済を開始したのを皮切りに、PayPayの事業会社を設立し、QRコード決済サービスを行う日本での草分け的存在となった。

 サービス開始当初、総額100億円に達するまで抽選で、PayPayで支払った購入額の20%、10万円を上限とした購入額全額がチャージ残高としてキャッシュバックされるキャンペーンを行い、わずか10日で100億円に達した。翌年にも二度目の100億円キャッシュバックキャンペーンを実施するなど、ソフトバンクは利用客獲得のための施策を積極的に行った。その甲斐あって、サービス開始からわずか4カ月で400万人のユーザーを獲得。さらに、2021年3月1日に競合のLINE Payを運営しているLINEとZホールディングスが経営統合してLINEヤフーとなったことに伴い、2025年4月からLINE PayはPayPayに統合される。

 国内のQRコード決済の中では最も利用率が高く、楽天ペイやd払いなどの競合を抑え、6割を超えるシェアを獲得している。登録ユーザー数は今年8月10日時点で6500万人を突破し、鉄道やバスといった公共交通機関でも運賃支払い方法に導入する例も増えている。今年8月には、厚生労働省からPayPayによる一部賃金のデジタル払いが認可され、名実ともに国内におけるデジタル決済のリーディングカンパニーといえる。

 だが、知名度が上がり、ユーザー数が増えるに伴い、ユーザーから「もうPayPayは使わない」「今から加入するのは意味がない」といった声が続出するようになった。その主な要因は、たび重なる還元率の減少だ。新規登録者を獲得するためにさまざまなキャンペーンを行ったり、高いポイント還元率を謳ってきたが、国民の2人に1人、スマホユーザーの3人に2人が登録するようになった今、利用者の囲い込みに舵を切ったといえるだろう。

 サービス開始当初の還元率は3%だったが、2019年10月には1.5%に半減、さらに2020年4月には0.5%へと激減した。急速な還元率の減少に、ユーザーは「釣った魚に餌をやらない施策」と批判が続出。さらに、2020年2月にヤフーカードに利用やPayPayチャージ・支払い等へのTポイント(現Vポイント)付与が廃止されたことなど、従来利用していたサービスが廃止されたことに不満を漏らす向きも少なくない。

PayPay、他社クレジットカードを排除へ

 そんななか2023年8月、支払い方法に他社のクレジットカードを利用できなくすると発表したところ、ユーザーたちから反発が続出。あまりにも多くの批判の声があがったこともあり、PayPayは他社カードの利用停止を2025年1月まで延期した。

 だが、その後、PayPayでの支払いを他社カードからPayPayクレジット等に切り替えると、通常0.5%のポイント付与率が最大1.0%または最大1.5%になるとのキャンペーンを開始。さらに今回、登録されている支払い方法から他社カードをすべて削除すると、特典として1000ポイントをもらえるというキャンペーンが行われ、SNS上で話題になっているのだ。これまでの施策の延長ともいえ、特に驚きはないが、今このキャンペーンを行う趣旨を、PayPay広報室に聞いたところ、「PayPayユーザーの利用状況に応じて、残高の利用やPayPayカードの利用をおすすめするキャンペーンを定期的に実施している」との回答だった。

 すなわち、これまでにもユーザーの状況等を勘案してキャンペーンを行っており、今回が特別ではないとのことだ。だが、ユーザーたちが「えげつない」と表現しているのは、キャンペーンの内容が排他的な施策というだけではない。一度他社カードを削除し、ポイントをもらった後にカードを再登録するという“ポイントもらい逃げ”が一切許されないというのだ。X上で、次のような投稿がある。

「ポイント付与までの間に再登録がNGなのはわかるとしても、付与された後でも再度他社クレカ登録したら付与したポイントを取り消すというやばめの縛りがついてたのでご注意ください」

 つまり、一定期間他社カードの登録ができないだけでなく、仮に後から再登録した場合にはポイントも取り消されるというのだ。

 サービス開始当初にポイントをばら撒き、ある程度利用者を得たらサービスを段階的に落としていき、その後は利用者の囲い込みを行うというのは、事業展開の常道ともいえる。この手法はソフトバンクや楽天が携帯電話事業に参入した際にも行われていた。確かに、それによってPayPayはコード決済の6割を超すシェアを獲得したが、キャッシュレス決済全体で見ると、決して勝ち組ではない。

 経済産業省の調査によれば、キャッシュレス決済のうち、クレジットカードの比率が約85%、コード決済は約7%しかない。その7%の中でトップとなっても、PayPayが国内の金融サービスとしては、まだ安泰とはいえない。今後、どのような成長曲線を描いていくのだろうか。

(文=Business Journal編集部)

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