スズキ新型ハスラーが大人気の理由…タフトより優れる多彩なシートアレンジ&燃費性能
どんなクルマなのか?
最近人気を高めているカテゴリーは、軽自動車とSUVです。国内の新車販売状況を見ると、軽自動車が国内販売全体の37%、SUVは15%前後を占めます。
そこで注目される新型車が、スズキ「ハスラー」です。スズキ「ワゴンR」とエンジンやプラットフォームを共通化した背の高い軽自動車で、広い室内空間を備え、外観はSUV風に仕上げました。2つの売れ筋カテゴリーの要素を併せ持つため、国内販売ランキングの上位に入っています。
人気を得ている理由
人気を得た理由の筆頭は外観です。直線基調で存在感が強く、丸型ヘッドランプは遠方から見てもハスラーとわかるほど個性的です。
背の高いボディによって車内は広く、大人4名が快適に乗車できます。後席にもスライド機能が備わり、そこにチャイルドシートを装着したときは、前寄りに調節すると便利です。運転席に座る親と子どもの間隔が縮まり、信号待ちのときなどにケアをしやすいです。前側へ寄せた後席の後ろ側には、相応の荷室が確保され、ベビーカーなども積めます。
マイルドハイブリッドの採用で燃費も優れ、優れた実用性とSUVのカッコ良さを両立させて人気を高めました。
気になる8つのポイントチェック&星取り採点
(1)居住空間の広さとシートの座り心地
★★★★☆
車内は広く、後席を後端までスライドさせると、足元空間が大きく広がります。座り心地も満足できます。
(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ
★★★★★
後席の背もたれを倒すと座面も下がり、ボックス状の広い荷室になります。前後スライドを含めて左右独立式です。
(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ
★★★★☆
軽自動車では珍しくボンネットが見えて、車幅やボディの先端もわかりやすいです。小回り性能も良好です。
(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性
★★★☆☆
加速力は軽自動車の平均水準です。操舵感は少し鈍く、峠道では曲がりにくいですが、安定性に不満はないです。
(5)乗り心地と内装の質感などの快適性
★★★☆☆
段差を乗り越えたときの突き上げ感は抑えましたが、路上の細かなデコボコを伝えやすいです。質感に不満はないです。
(6)燃費性能とエコカー減税
★★★★☆
マイルドハイブリッドの採用で、ノーマルエンジンのWLTCモード燃費は25km/L、JC08モードは30.4km/Lです。
(7)安全装備の充実度
★★★★☆
歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキ、前後両方向に対応した誤発進抑制機能などを標準装着しています。
(8)価格の割安感
★★★★☆
ハスラーの価格は、エアロパーツを装着したワゴンRスティングレーに比べて実質的に6万円前後は割安です。
選ぶときに確かめたい3つのメリット
・アイドリングストップの再始動音が静かで、優れた実用燃費を快適に実現。
・後席が広く、水洗いの可能な荷室に変更できます。シートアレンジも多彩。
・最低地上高に余裕があり、悪路のデコボコも乗り越えやすいです。
後悔しないための3つの要チェックポイント
・転がり抵抗を抑えた燃費重視のタイヤなどにより、乗り心地は硬めです。
・ノーマルエンジンは、高速道路や峠道の登坂路では少しパワー不足です。
・車間距離を自動制御できるクルーズコントロールはターボ車のみの採用です。
こんなユーザーにおすすめ
前後席ともに広く、シートアレンジも多彩なので、ファミリーカーとして便利に使えます。最低地上高に180mmの余裕があり、雪道も走りやすいです。荷室の汚れも落としやすく、スキーなどが趣味のユーザーにも適しています。
今後のモデルチェンジ予想
2020年1月に販売を開始した設計が比較的新しい車種なので、当分の間、規模の大きな改良は行いません。それでも大量に販売する必要があるため、ニーズの高い装備を割安に装着した特別仕様車は定期的に設定します。
最近の販売状況と安く買うための商談方法
ハスラーは先代型(初代モデル)に引き続き、現行型の人気も高いです。そのために販売は好調です。
また、ダイハツ工業がハスラーのライバル車に相当する「タフト」を発売しました。シートアレンジや燃費性能はハスラーが優れていますが、ガラスルーフの採用など、装備の充実度はタフトが上回ります。そこでタフトを相手に、値引き額や下取り車の査定額などを比べて選ぶと良いでしょう。
リセールバリュー/数年後に売却するときの価値
人気の高いSUVスタイルの軽自動車で、基本設計も新しいです。したがって、数年後に売却するときの条件も期待できます。3年後に手放すのであれば、新車時の50~55%の査定額がつくでしょう。資産価値を保ちやすいこともハスラーの魅力です。
これが結論!/このクルマの総合評価&コメント
★★★★☆
ハスラーは実用的で買い得なワゴンRをベースに、外観をSUV風にアレンジして、内装も汚れを落としやすいように仕上げた軽自動車です。価格も妥当で、幅広いユーザーが購入しやすいです。試乗したときには、硬めの乗り心地に不満がないか、確認しておきましょう。
グレードは、価格をなるべく安く抑えたいなら、2WDのハイブリッドG(136万5100円)が良いと思います。LEDヘッドランプやアルミホイールなどの上級装備が欲しいときは、ハイブリッドX(151万8000円)を選びます。雪道を走る機会が多いなら、4WDのハイブリッドX(165万2200円)も検討しましょう。坂道や高速道路を走る機会が多い使い方には、2WDハイブリッドXターボ(161万2600円)が適しています。
(文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト)