日産、新型「ノート」で見せた新戦略…「感覚」へのこだわり、「音」をバンダイナムコと開発
日産自動車の新型「ノート」が話題を独占している。というのも、単純な環境性能や操縦安定性、あるいは安全性能だけではなく、クルマとして失ってはならない、人との親和性と、それへのアプローチが注目されているのだ。
ノートに搭載されているパワーユニットは「e-Power」である。内燃機関が駆動輪に直結することなく、あくまで発電機として機能するにすぎない。エンジンがガソリンを燃やすものの、そのパワーで電力を蓄積、バッテリーに蓄えた電力で駆動するのだ。つまり、走りはEV(電気自動車)そのものなのである。
「プロパイロット」も装備可能だ。高度な運転支援技術である「プロパイロット2.0」ではないものの、コスト制限のあるコンパクトモデルとしては贅沢な装備だ。そのぶん価格は跳ね上がるものの、安全を変えることは悪いことではない。
日産では、「高品質感活動」と命名している。ユーザーがクルマに近づき、乗り込み、運転し、そして降りるまでの間で体感する感覚にこだわったのだ。そのなかでも特に力を入れたのは、触感と操作音だ。
そのためには、細部までのこだわりを見せる。ドアはストライカーという突起をクローが噛み合うことで成立する。クローがストライカーに当たる瞬間の第一打撃音を抑えている。さらには、クローが一旦、ストライカーを噛もうとする瞬間のストロークを少なくすることで収まりを良くしているのだ。これまでも、すでにこのような細工をしてきたであろうが、ここにきて体系的に整えたことがポイントだろう。
障害物が迫っているような緊急度が高い場合にはハイテンポで周波数の高いサウンドが響き、緊急度の低い、つまりリバース音やウインカーの作動音は穏やかでいい、といったように、電子音を整えたのである。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)