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木下隆之「クルマ激辛定食」

トヨタ・レクサス「RC F」、「大排気量+FR駆動=絶滅危惧説」を吹き飛ばす走り

文=木下隆之/レーシングドライバー
トヨタ・レクサス「RC F」、「大排気量+FR駆動=絶滅危惧説」を吹き飛ばす走りの画像1レクサス「RC F」

「大排気量+FR駆動(後輪駆動)」信仰者の僕にとって、この春に誕生する、レクサスの「RC Fパフォーマンスエディション」は、興奮が掻き立てられるモデルである。搭載するエンジンはV型8気筒。排気量は5リッターもある。そこで得られたパワーを後輪に伝達する。スペックを耳にしただけでワクワクと心踊りそうになった。

 このところ、環境に優しいという理由で、ダウンサイジングという言葉が横行している。排気量を下げることで燃費を改善(必ずしもそうとは限らないが)、排気量を下げた分の出力の低下をターボチャージャーで補う。環境に優しく、パワーもある。それがダウンサイジングの考え方だ。

 一方で、4WD(4輪駆動)が増殖中だ。出力が増えただけ、2輪駆動では加速力を受け止めきれないということもあるが、もともとコーナリング安定性が高いという理由から、4WDタイプが増えているのだ。

 そんななか、レクサスが放った「RC Fパフォーマンスエディション」は、ダウンサイジングや4WD化へのアンチテーゼのように思う。あらためて大排気量+FR駆動の魅力を突きつけてくれたのだ。

トヨタ・レクサス「RC F」、「大排気量+FR駆動=絶滅危惧説」を吹き飛ばす走りの画像2

 そもそも、大排気量+FR駆動の魅力は、アクセルワークで自在に走りをコントロール可能なところにある。アクセル操作がパワーの増減に直結するからだ。その増減よってコーナリングの軌跡が変化する。つまり、アクセルワーク次第でコーナーを華麗に舞うことができるのだ。

 ただし、それには条件がある。力強くレスポンスに優れたエンジンと、強靭なサスペンションが不可欠なのだ。

 排気量が小さければ、低回転トルクが細く、アクセルワークが枯葉のように頼りない。ターボチャージャーで最大トルクを補うことは簡単だが、その機構上、致命的な反応遅れが生じる。エンジンの排気圧を利用してタービングを回し、それからあらためて本来のパワーゾーンに突入するターボチャージャーは、アクセルペダルを踏み込んでから排気サイクルが一回転するまでに「間」が生じてしまうのだ。それがターボの欠点だ。

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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