「ジープ」の名を知らない方は少ないだろう。「アルファロメオ」の名も同様に、日本でも古くからポピュラーな存在である。
ジープは第二次世界大戦の最中、アメリカ軍の多目的軍用車にルーツがある。がれ場や泥濘地といった道なき道を突き進む圧倒的なオフロード性能は、ジープの最大の武器だ。このような骨太のオフロードカーを総称して多くの人が「ジープ」と呼ぶように、クロスカントリーモデルの代名詞となっている。
一方のアルファロメオは、1910年にイタリアで産声をあげた。走りの性能を強く打ち出すとともに、個性的なデザインが支持され、熱狂的なファンを獲得している。
だが、それだけの知名度があっても、日本市場では苦戦が続いていた。メーカー別輸入車新規登録台数では、メルセデスベンツが4年連続で首位を堅持。圧倒的な知名度と販売戦略によって他を圧倒している。2018年度実績では6万6948台を登録。2位のフォルクスワーゲンと3位のBMWが約5万台で競り合っている。5位のアウディはやや遅れて2万3917台という流れ。4位のMINIもドイツ車と見なせば、“ジャーマン5”が日本市場を席巻している状況だ。ジープの登録台数は1万1098台で10位と健闘しているものの、それと比較するとアルファロメオの販売は寂しい。年間販売台数は2606台で、21位に低迷している。
だが、そんなジープもアルファロメオも、このところ街中で見かけることが多くなった。
泥濘地で威力を発揮するという特性上、ジープと都会との親和性は低いはずなのに、オンロードでも見かけるのである。昨今のSUV(スポーツ用多目的車)ブームが後押ししたという側面も無視できないが、その増殖ぶりは驚くばかり。
一方のアルファロメオも同様で、「真っ赤なアルファ」が都会の風景に溶け込んでいる。こちらも人気再燃の気配が濃厚なのだ。
データを調べて見るとそれは明らかで、ドイツ勢が販売上位を独占している状況に変化はないが、伸びが鈍化しているのに対して、ジープとアルファロメオの飛躍はすさまじい。ジープは10年前の約6倍と飛躍、アルファロメオにいたっては2017年が2029台だったのに、2018年は2606台へと大幅アップなのである。