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いずれも既存の金融機関に比べて短期間での審査が特徴だ。「IT企業に融資の判断などできるのか」とメガバンク関係者は冷ややかな視線を送るが、金融への新規参入業者は意に介さない。既存金融機関が融資を決算書で判断する一方、自社で通販サイトを運営する企業はモノの動きをリアルタイムで把握できる強みがあるからだ。特にジャパンネット銀行の場合、融資申し込み時に決算書の提出を求めず、Yahoo!ショッピングでの直近一定期間の売り上げ推移などで判断する。
楽天は融資希望企業に対し決算書の提出を求めるが、強みはデイリーの販売履歴や出店者に対するサイト上の評価だ。楽天関係者は「貸し倒れは既存の銀行より少ないはず」と胸を張る。
メガバンクが軒並み撤退した市場
皮肉なことに中小事業者向けの少額無担保ローンはかつてメガバンクも手がけていたが、軒並み撤退。「どちらが融資判断をできていないのか」(IT企業関係者)との声も聞こえてくる。
楽天カードの無担保融資は現時点で上限3000万円だが、グループ会社の楽天銀行が法人向け融資への参入を検討しており、中小企業向け融資の市場を既存銀行から奪う姿勢を隠さない。
メガバンクの中には「彼らは我々が届かない隙間で動いているに過ぎない」と余裕を見せる関係者も多い。確かに、資金量からしても既存の銀行と金融村を出自としない新規参入組の一部サービスを比較するのは、馬鹿げた話に映るかもしれない。
だが、「蟻の穴から堤は崩れかねない」(メガバンク中堅社員)との指摘もある。持ち株規制緩和の議論が始まったのは危機感の表れであることが間違いないだけに、その行方から目が離せなさそうだ。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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