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黒板が「緑色」の謎!源は帝国陸軍にあった?

文=石徹白未亜/ライター
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すし詰めの教室が、黒板を黒から緑にさせた

–なぜ、黒板の主流は黒から緑になったのでしょうか?

北村 「戦後のすし詰め教室」が原因ではないか、と考えられます。教室は、だいたい7.5メートル四方の正方形をしています。少子化が進んだ今は、教室に30名も入らないようですが、戦後のベビーブームの頃は、倍の60人近くが入っていました。そうなると、前の席の生徒は教卓にくっつくくらい、前に出ないといけません。窓からの光が黒板で反射すると、最前列の端に座る生徒は黒板が光って見え、文字が読めなくなってしまいます。黒よりも緑のほうが光の反射を抑えられるので、緑の黒板が普及していったのではないかと考えられます。

 なお、戦前~戦中までは黒い黒板が中心でしたが、当時すでに緑の黒板を作っているメーカーもありました。また、陸軍参謀本部は「目にいいから」という理由で緑の黒板を使っていた、という説もあります。

–ちなみに、黒板の耐久性はどのくらいなのでしょうか?

北村 使用頻度によって変わりますが、基本的に長持ちします。使用頻度が最も高いのは、予備校です。朝から晩まで黒板一面に文字が書かれ、それが消され、また書かれ……というサイクルが繰り返されますが、それでも5~6年に一度、表面の取り替えを行うだけです。

–少子化で、黒板業界はどう変わっているのでしょうか?

北村 今、全国には60~70万の教室があるといわれていますが、少子化で年間2000~3000教室が減っているそうです。文部科学省の「学校環境衛生基準」に従い、連盟では黒板の劣化をチェックする「黒板検査用色票」を作成、全国の学校に配布しています。こういったメンテナンス需要や、電子黒板などの多角化で、環境の変化に対応しています。

黒板が「緑色」の謎!源は帝国陸軍にあった?の画像2黒板検査用色票

 黒板検査用色票は、複数の「OKの色」と「NGの色」が一枚の紙にまとめられ、さらに見本の色の下には穴が開いている。写真のように、黒板に実際に重ね、見本の色と黒板の色を比較して確認する仕組みだ。

 黒板が黒から緑になった背景には、戦中~戦後史、さらにその中でより良い学習環境を提供するためのメーカーの工夫が込められていたのだ。
(文=石徹白未亜/ライター)

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