「Negicco First Tour」(無料動画サイト「YouTube」より) AKB48の姉妹グループとして、新潟県を拠点とする「NGT48」が10月に発足する。そのニュースを聞いたマツコ・デラックスが、出演していた『5時に夢中!』(TOKYO MX)で「Negicco(ねぎっこ)がかわいそうだよ!」と叫んだ。
ねぎっこというのは、新潟発のご当地アイドルとして結成された、20代の3人組アイドルグループだ。活動開始から苦節12年、昨年末にシングル『光のシュプール』がオリコンの週間シングルランキングで5位に入り、今年は17都府県を回る初の全国ツアーを成し遂げた。
私は、6月に東京・代官山で行われたねぎっこのライブに足を運んだ。男女問わず20~50代の幅広いファンが、わが子の成長を愛しむように、温かな一体感を持って応援していた。
ねぎっこがデビューしてから12年の経緯を見ると、地方創生事業が直面する典型的な問題にぶつかり、それを一生懸命に乗り越えてきたように見える。それが、私と同年代の年配ファンもひきつけるのではないだろうか。
今回は、ねぎっこの歴史を振り返りながら、地方創生事業が成功するための要因について考えてみよう。
立ち上げ時の困難
ねぎっこは、2003年に地元の特産品である、ねぎのキャンペーンをきっかけに、4人組で結成された。05年に所属していたタレントスクールが廃校となり、06年には「一番歌がうまい」結成メンバーの1人が卒業してしまう。
しかし、それらを乗り越え、新潟を拠点に地道に活動を継続していく。プロデューサーはおろか、歌やダンスの先生もいない中、カラオケボックスで歌の練習をして、ダンスを考え、衣装も自前でそろえて活動を続けた。
地方創生事業においても、ちょっとした思いつきで始まったキャンペーンや新商品の評判がたまたまよく、「継続しよう」となることもある。しかし問題は、その後を「誰がどれだけ、熱意を持って継続して支えていくか」である。
最初は、ビジネスを支援する組織や制度、補助金などがあるものの、前述のタレントスクールのように、数年もするとなくなってしまうことが多い。また、14年9月30日付本連載記事『期待の6次産業育成、なぜ成功例出ない?生産、販売、規制…立ちはだかる多数の壁』でも述べたが、スタート時の重要な役割を担っている仲間が離脱してしまうこともよくある。ねぎっこが直面した艱難辛苦は、地方創生事業がぶつかる典型的な壁と同じだ。