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ユニクロ、入社3年目で報酬数千万円も…競争原理徹底で完全成果主義導入の狙い

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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情報製造小売業で目指す世界制覇

 ファストリは、アパレル分野での世界制覇を目指している。そのために同社は、データと情報を積極的に活用し、より効率的に付加価値を創造できる企業になろうとしている。柳井正会長はこれを「情報製造小売業」と呼んでいる。突き詰めていえば、同社はICT(情報コミュニケーション技術)を最大限に活用することで、物流を効率化したい。それが可能になれば、在庫管理の無駄を省き、利益を増やすことが期待できる。

 すでにファストリは、米グーグルのテクノロジーを活用して消費者の需要予測を行っている。必要とされるアパレル製品を、必要な分だけ店舗に届けることができれば、在庫を減らすことは可能だ。IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)を用いたビッグデータ分析の分野は、すべての産業において重視されている。専門理論に習熟し、データの分析やプログラミングにたけた人物は引く手あまただ。それに加え、新しいことにチャレンジするスピリットを持っている人は、どの企業ものどから手が出るほど欲しい。能力とやる気に、年齢や性別は関係ない。

 ファストリはそうした人材を確保することで、ZARA(ザラ)ブランドを展開するスペインのインディテックスを追い抜きたい。現在、ファストリの純利益が1100億円であるのに対し、インディテックスの純利益は4400億円程度と、かなりの差がある。インディテックスの強みは、消費者の好みや望みをすぐに商品に反映し、各店舗が必要と判断した商品がスペインの物流拠点から迅速に発送される物流体制を確立したことだ。

 ファストリは、これを上回るネットワークシステムの構築を目指している。それができれば同社は、IoTの技術を駆使して店舗のデータや情報を生産や物流に反映し、消費者が欲しいと思うものをより効率的に提供できるようになるはずだ。

脱終身雇用と脱年功序列は止められない

 国内で少子化、高齢化、人口の減少が3つセットで同時に進むなか、日本企業はより高い期待収益が見込まれる海外市場への進出を重視している。欧米の企業と競争しつつ、新興国企業の追い上げにも対応しなければならない。

 変化のスピードが加速化する環境に適応するためには、自ら能力を磨き、その発揮を目指して新しい取り組みを実現しようとする人材が欠かせない。ファストリは横ならびの人事評価をやめ、意欲と実力のある人材を確保しつつ、相応の報酬を支払うことで個々人のさらなる成長を促そうとしている。

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