そのため、コーヒー豆をただ販売するだけでは競合との競争に勝つことができない。そこでカルディはコーヒー豆を売るためにさまざまな施策を講じている。
まず挙げられるのが「試飲」だ。カルディは店頭でコーヒーの試飲を客に対して積極的に実施している。コーヒーが注がれた紙コップを店員が来店客に配っている。もちろん、試飲は無料だ。
店頭で試飲してもらうことで、「自宅でも同じコーヒーを楽しみたい」と思わせることができる。また、人の好意に報いたいという心理が働く「返報性の原理」により購買につなげる狙いもある。さらに、コーヒーの味を思い出させることで、コーヒーに合う食品の購買につなげる狙いもあるだろう。
こうした店頭でのコーヒーの無料提供は、1992年にオープンした下北沢店で実施したのが始まりだ。夏の暑い時期に来店する客に対し、感謝の気持ちを込めてアイスコーヒーを無料で提供したところ、これが好評だったことから、カルディ全体で行う取り組みとなった。
コーヒーに合う輸入食品が豊富なことも、コーヒー豆の販売につながっている。カルディではクッキーやチョコレート、ケーキといったコーヒーに合う食材を数多く取りそろえている。ワンストップでコーヒーとそのお供になる食材を買えるという利便性が、コーヒーの販売につながっているのだ。
輸入食品のラインナップは多種多様だ。タイの「トムヤムスープ」やイタリアの「トマト缶」、アメリカの「サラミ」、インドネシアの「ナシゴレンの素」、ヨーロッパ各地やアメリカ、チリ、アルゼンチンといった世界各国の「ワイン」など、国際色豊かな食品を豊富に取りそろえている。
個性的な品ぞろえがSNS時代にマッチ
カルディはオリジナル商品も展開している。パンダのデザインの箱に詰めた「杏仁豆腐」や「サバの水煮」、「豆乳ビスケット」などバラエティに富んでいる。オリジナル商品の「ガーリックマーガリン」は、年間15万食を売り上げる大ヒット商品となった。
日本各地の名産品を使った食品も豊富だ。06年にもへじを設立。「北海道から」というオリジナルブランドをつくって、北海道産のメロン果汁を使用した「キャンディー」や北海道で漁獲されたサンマを使用した「サンマの味噌煮」など北海道ならではの食品を扱うほか、大分県産のカボス果汁を使用した「カステラ」、鹿児島県産の皮付きゴボウを使用した「ゴボウ茶」など、日本各地の特産品を使った食品を開発し、カルディで販売している。