こういった国内外の食品を適宜投入するほか、季節性のある商品を随時投入することで、常に売り場に変化を持たせ、客を飽きさせないようにしている。季節商品は、たとえば、この7月からは、暑い季節でも爽やかに飲める味わいの「ワインカクテル」を発売した。1月には、寒い季節にぴったりで体が温まる韓国料理の「サムゲタン」を販売している。こうした季節に合った商品を次々と投入し、売り場の鮮度を保っているのだ。
こうした個性的で豊富な品ぞろえは、今のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)時代に即している。カルディの商品は、ほかでは手に入らない珍しいものばかりなので、どういった商品なのかを伝えることが難しいという側面がある。そのため、客は買うのを躊躇してしまいがちだ。だが、今はSNSが発達しているので、味の感想や調理方法などをネット上で確認することが容易だ。購入前に商品に関する情報を手軽に入手できるので、購買のハードルは、かつてと比べてかなり低くなっている。 客は安心して買えるので、SNSの発達はカルディにとって追い風といえる。
カルディは独特の陳列方法で商品を並べているのも特徴的だ。天井近くまである木でできた棚に、所狭しと商品を陳列。店内の照明は照度を落としてやや暗めにし、間接照明で商品を照らして商品が目立つようにしている。内装は「西洋の図書館」をイメージして設計されているという。目当ての本を探すかのような感覚で商品を見つける楽しさを演出している。
カルディの陳列は、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の、商品を天井近くまで積み上げる「圧縮陳列」と呼ばれる陳列方法と酷似している。ドンキは「ジャングル」を連想させる非日常空間を演出しているが、カルディの「西洋の図書館」もそれと似たようなものだ。カルディには「ワクワクドキドキ」させる空間があり、それが客を魅了している。
カルディに行けば、ほかにはない商品と体験が得られる。それが強さの秘密だ。真似しようにも簡単に真似できないものがカルディにはある。カルディの快進撃はまだまだ続きそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。