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ファミマ加盟店、時短営業への賛否が拮抗…24時間営業維持の要望も根強く

文=山田稔/ジャーナリスト
時短営業はどうなるのか(ファミリーマート)
時短営業はどうなるのか(ファミリーマート)

 7月21日に投開票が行われた参議院議員選挙の前からメディアは一連の吉本興業問題に振り回され、国民にとって大切なニュースに割く時間が大幅に減っている感じがする。吉本の所属タレントが自分の番組で“決意表明”をしたかと思えば、のちになってトーンダウンする。公共の電波がこんなかたちで使われていることに異論が出ないことが不思議だ。

 さて、そんな吉本騒動が続くなかで、コンビニエンスストア関連で見落とせないニュースがあった。ひとつはファミリーマートの時短営業に関するアンケート結果だ。このアンケートは、6月7日から21日にかけてフランチャイズ加盟店1万5000店を対象に実施し、回答店舗数は1万4572店、回答率98.1%だった。結果は、時短営業を「検討したい」が7039店(48.3%)、「検討しない」7106店(48.8%)、「その他」427店(2.9%)だった。「その他」にはオフィスビル内店舗などで、すでに時短営業を実施している店舗が含まれているという。

 検討派の主な理由は「深夜帯の客数が少なく収支改善が可能」「人手不足のため」が、それぞれ半分近くあった。検討しない派の主な理由は「売り上げに悪影響がある」がもっとも多く、半分近くを占めた。そのほかでは「24時間営業に支障がない」「店舗の開店・閉店業務に負担がかかる」などの回答があった。

 同社は6月から一部エリアで時短営業の実験を実施している。10月には最大700店舗で実証実験の第2弾を行う予定だ。今回のアンケート結果に澤田貴司社長は「(回答が)思ったよりも多かったのは事実で、加盟店の関心の高さと受け止めている」と語った。

 24時間営業は大手コンビニ共通の問題。ファミリーマートの加盟店の意思がほぼ半々に分かれているところが興味深い。

 従来のメディア報道の多くは、「24時間営業=加盟店オーナーの過重労働」という観点からだったが、回答を見る限り、そんな単純な図式ではなく、簡単に結論づけられる問題ではない。今後の実証実験の結果次第ではあるが、加盟店の希望と防犯面を含めた地域住民らの要望、本部によるケア、無人店舗の実用化などを総合的に勘案した解決策を模索してほしい。

ローソンの食品ロス削減実験、沖縄、愛媛で183万円の寄付金

ローソン、食品ロス削減実証実験の発表会(那覇)
ローソン、食品ロス削減実証実験の発表会(那覇)

 もうひとつのニュースは、ローソンが沖縄県と愛媛県で実施している食品ロス削減プログラム「アナザーチョイス」の途中経過に関するもの。このプログラムは、客が午後4時以降に消費期限の近いシールの付いた弁当などの商品を購入すると、対象商品売り上げ総額(税抜)の5%が子どもたちの支援の取り組みに寄付され、客には対象商品合計金額(税抜)に対して100円につき5ポイントが還元されるというもの。沖縄県233店、愛媛県218店で6月11日から8月31日まで実証実験を行っている。

 7月24日に6月分(6月11~30日)の結果が発表された。沖縄県では約9万6000人、愛媛県では約5万6000人が参加。寄付金は沖縄県で110万2800円、愛媛県で73万2543円となった。沖縄県では3550食分の子どもの夏休み中の食事の材料費として活用される。愛媛県では来春以降に子育て支援に使われる。一部の店舗では、実験前に比べおにぎりの廃棄が2割ほど減ったという。

 ローソンは8月末までの実証実験の結果を踏まえ、全国でのアナザーチョイスの展開を検討する。

 食品ロスは世界で約13億トン(国連食糧農業機関公表値)、日本で643万トン(平成28年度推計=環境省)規模に達している。国内の内訳は食品関連事業者55%、一般家庭44%。一方、国内では7人に1人の子どもが十分にごはんを食べられない「子どもの貧困」が社会問題となっている。食品ロスを減らすと同時に寄付金を子ども支援に回すローソンの取り組みが、コンビニだけでなく食品業界全般に広がっていかないだろうか。

経産省の「新たなコンビニのあり方検討会」

アナザーチョイス対象商品、5%が子ども支援に回される(沖縄県浦添市内のローソン店舗)
アナザーチョイス対象商品、5%が子ども支援に回される(沖縄県浦添市内のローソン店舗)

 時短営業に関するアンケート実施、食品ロス削減プログラムの実証実験と、コンビニ業界内で改革に向けた取り組みがスタートしているが、一方で経済産業省は「新たなコンビニのあり方検討会」(座長・伊藤元重学習院大教授)を設置し、6月28日に第1回会合を開いた。

 検討会は年内に4回程度開催し、並行してコンビニオーナーへのヒアリング(8月下旬から)、ユーザー、従業員へのアンケート調査を実施する。それらを踏まえて来年1月をめどに中間報告をまとめる方針だ。

 事務局の資料によると、検討会設置の趣旨は「コンビニの今日的な課題及び今後の方向性を議論し、コンビニが社会的期待に応えつつ持続可能な成長を実現するためのあり方を検討するため、本検討会を設置」となっている。

 新たなコンビニのあり方を役所が主導して検討というやり方には違和感を覚えなくもないが、コンビニオーナーのヒアリングやユーザー、従業員のアンケート結果は気になるところだ。どんな意見、要望が出てくるのか。情報をオープンにすることで、検討会に参加できなかった人たちにとってもコンビニ改革を考える機会になってほしい。

 誕生からまもなく50年。人口減少、超高齢化社会が加速するなかで、社会インフラとなったコンビニはどう進化していくのか。経産省の検討会の中間報告も結構だが、コンビニ各社が、具体的かつドラスティックな改革プランを提示してほしいものである。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

山田稔/ジャーナリスト

山田稔/ジャーナリスト

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。

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