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原発、経産省で推進不要論…省エネで電力余剰、脱原発・脱石炭火力は不可避の情勢

文=小川裕夫/フリーランスライター

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)やみずほFGが相次いで石炭火力発電への投融資を縮小させることを表明。この動きに、大手の機関投資家である日本生命も追随した。こうして、脱石炭火力は日本金融界でも鮮明化する。

 そして、これまで態度を鮮明にしていなかった三菱UFJFGも石炭火力からの撤退を表明。石炭火力への投融資を2030年までに半減させるという具体的な目標を打ち出した。同FGは石炭火力に対して1兆円規模の投融資をしている。これらの資金が消えれば、実質的に石炭火力は縮小するだろう。

地方自治体の奮起

 諸外国から見れば、日本の脱石炭火力の動きは遅い。それでも、日本の3メガが石炭火力から手を引くことを表明し、石炭火力の将来性は潰えた。こうした状況に内心面白くないのが、原発推進・石炭火力推進の旗を振ってきた政府および経済産業省だ。原発忌避の世論が高まると、政府は「電力の安定供給」「エネルギーミックス」と響きのいい言葉で、なんとか原発再稼働や石炭火力推進の機運を高めようと努めてきた。

 しかし、政府の思惑以上に国際的な圧力がそれを阻む。だが、原発や石炭火力を代替できる発電ができなければ、脱原発や脱石炭火力は進まない。

 実は脱原発や脱石炭火力を裏で支えているのは、地方自治体の奮起だ。東京都世田谷区は高度経済成長期に神奈川県三浦市に購入していた三浦健康学園用地が遊休地化していた。そこを活用するかたちで、太陽光発電所に転換。福岡県北九州市は風力発電を積極的に推進して「エコタウン」を全面的にPRしている。自治体が率先して再生可能エネルギーに取り組む姿勢に対して、総務省職員はこう話す。

「2009年に民主党政権が誕生した際、総務省は“緑の分権改革”に取り組みました。これは地方自治体ごとにエネルギー、つまり電気を自給自足できる体制を整えることを目指した政策です。率直に言って、市町村単位で電力を100パーセント自給自足することは不可能でしょう。しかし、現在の電力供給は地域の偏在性が強いのが特徴です。少しずつでもいいから各地域で電力供給に取り組めば、地震などの災害発生時のリスクヘッジにもなります。そうしたことも含めて、各地域で電気を自給自足する。それが、緑の分権改革が目指したところです」

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